ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が19日(現地時間)、ロシアに対する反撃作戦で結果を出す時間があまり残っていないとし、軍に迅速な作戦を促した。ロイター通信などが報じた。反撃作戦が停滞状態に陥ったことを指摘すると共に、ロシアのウクライナ侵攻戦争に対する国際社会の関心が薄れていく状況を突破するための措置とみられる。
ゼレンスキー大統領は同日夜に公開されたビデオ演説で、「今日、ルステム・ウメロフ国防相と会議を行い、優先順位を決めた」とし、「結果を待つ時間があまり残っていない。今後の変化のためには迅速な行動が必要だ」と述べた。
また、軍医務司令部のテチャナ・オスタシェンコ司令官を更迭したとも明らかにした。さらに「これまで何度も強調したように、戦場にいる医務兵の任務は明らかだ。将兵に対する根本的に異なる水準の義務支援が必要だ」と強調した。ゼレンスキー大統領は医務支援の改善と関連して「より良質な止血帯、(支援の)デジタル化、より良質な通信」を取り上げた。
ゼレンスキー大統領の発言後、ウメロフ国防相はソーシャルメディアへの投稿で、デジタル化と「戦術的医療」、医務兵の循環配置を最優先課題にすると発表した。
ロイター通信によると、迅速な作戦と医務司令部への支援強化に関するゼレンスキー大統領の発言は、21カ月間続いている戦争の状況とウクライナの反転攻勢が成功する可能性をめぐり議論になっている中で出た。
西側では、戦争が停滞局面に入り、今年の冬にウクライナの反転攻勢が明確な成果を出すのは難しいとみられている。さらにウクライナ軍内部からも、西側の兵器支援を受けても兵力不足のため作戦を遂行することが難しいという声まであがっている。米タイム誌は先月末、ゼレンスキー大統領が東部ドネツク州で攻撃強化を指示したが、現場では「兵力も武器もない」という反応を示したと報じた。
こうした中で、15日、南部ヘルソン州のドニプロ川渡河作戦を断行したウクライナ軍は、5日間にわたりロシア軍占領地内で陣地死守作戦を行っている。ウクライナ南部司令部は同日、「ロシア軍の砲撃攻勢を減らすため、ロシア軍を(ドニプロ川沿いの)戦線からできるだけ押し出すための作戦を展開している」と明らかにした。これに対応し、ロシア軍はドローンなど「戦術的航空術」を動員した攻撃を行っている。AP通信が報道した。
ドニプロ川渡河作戦は、昨年11月にウクライナ軍がヘルソン州のドニプロ川北西部地域を奪還して以来、ドニプロ川を挟んでロシア軍と1年にわたり対峙している状況を突破するための試みだ。同作戦が成功した場合、ウクライナ軍はヘルソン州南部地域を奪還すると共に、クリミア半島への攻撃の足がかりを確保し、南部戦線の戦況を覆す可能性もある。