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医師は携帯電話の光で診療、避難所では感染症も…ガザ地区、最悪の保健危機

登録:2023-10-26 06:42 修正:2023-10-26 08:33
燃料切れで病院の3分の1は稼動停止 
避難民が密集する避難所には肺疾患なども広がる
ガザ地区南部のハンユニスにあるナセル病院で24日(現地時間)、爆撃の被害者たちが治療を待っている=ハンユニス/AFP・聯合ニュース

 イスラエルの全面封鎖が18日間続いているパレスチナのガザ地区で、病院の麻痺に続き病気まで広がり、最悪の保健危機が懸念されている。同地域の唯一の発電所が稼動を停止してから2週間が経ち、病院が続々と運営を中断し、薬局も医薬品不足を訴えている。

 世界保健機関(WHO)は24日(現地時間)、燃料不足でガザ地区の病院のうち約3分の1が稼動を中断したと発表した。WHOの東地中海緊急対応責任者のリック・ブレナン氏は国際社会に向けて「人道活動の持続、拡大、保護のため、ひざまずいて訴えたい」と語った。ガザ地区の保健省もイスラエルの爆撃と大規模な避難民のため、保健システムに多大な負担がかかる中、30カ所の医療センターが運営を中断したと発表した。

■ 「患者には死刑宣告に他ならない」

 イスラエルの空爆が集中している北部地域のベイトハヌーン病院は同日、運営中止を宣言した。同病院のアテフ・アルカフルート病院長は、「(非常発電機の稼動に必要な)燃料を手に入れることができなければ、ガザ地区北部地域の患者たちには死刑宣告に他ならない」と警告した。

 ガザ地区北部の最大の民間病院であるインドネシア病院も、集中治療室のような必須施設を除き、残りの施設の運営を中断した。ガザ地区の保健省所属のメダト・アッバス博士は「非常発電機の稼動に必要な燃料が底をつき、手術室、集中治療室、救急室が真っ先に打撃を受けている」とし、「病院の廊下で携帯電話機の光に依存して患者を治療しており、麻酔もせず治療に当たる場合もある」と伝えた。

 ガザシティ最大の病院であるアルシファ病院もまともに機能していない。同院の看護学科教授は英国ガーディアンに「もはや病院ではない。人々は床に寝具を敷いて横になっており、救急車が入ってくる入り口だけが開いている」と語った。さらに「病院のあちこちで子どもたちが走り回っており、看護師たちは皆疲れ切っている」とし、「爆撃を恐れる患者たちを追い出すこともできない」と話した。

■ 避難所に集まった住民たちに肺感染症と発疹広がる

 イスラエルの空襲を避けて北部の住民たちが押し寄せている南部地域では、人が密集した避難所を中心に様々な疾病が広がっている。南部都市ハンユニスにあるナセル病院の公衆保健医ナヘド・アブ・タエマ氏は「避難所として使われる校舎などに多くの人が密集している」とし、「このような場所が病気の拡散を招く震源地になっている」と語った。

 また、臨時避難所に滞在する住民たちが消化器疾患、肺関連感染症、発疹などを訴え始めたと付け加えた。同地域には運営中の薬局を探すのも容易ではなく、特に慢性疾患を患っている患者が薬を手に入れるのが難しい状況だと、ロイター通信が報じた。

 北部地域から夫、3人の子どもと一緒にここに退避した女性、ソジュド・ナジムさんは、国連が提供した臨時テントで9日間生活しているとし、「昼間は日差しにさらされたテント内部がとても暑く、虫も猛威を振るっている」と語った。また夜は気温が下がり、寒いのに毛布も足りないとし、「子どもたちは皆体調が悪い」と付け加えた。

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)はソーシャルメディアのX(旧ツイッター)への投稿で、「緊急に燃料を確保できなければ、我々は明日(25日)夜、ガザ地区で活動を中断せざるを得ない」と明らかにした。

 しかし、イスラエルは燃料供給を許可しない方針を繰り返し表明した。イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は「ハマスが燃料を作戦に使うため、ガザ地区には燃料が供給されない」とし、「必要ならばハマスの方がUNRWAから盗んだ燃料を返し、病院にも供給できるだろう」と述べた。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1113537.html韓国語原文入力:2023-10-25 22:08
訳H.J

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