ウクライナ軍が戦場に埋められた地雷から自国兵士を保護するため、クモのような形の特殊な靴を普及させている。この靴は靴底に脚4本を付け兵士の足が地面に直接触れないように作られたものだが、地雷が爆発する場合、衝撃を緩和する効果があるという。
米科学技術雑誌「ポピュラー・メカニックス」と英国のロイター通信の報道によると、ウクライナのドネツクに駐屯している工兵部隊は、いたるところに埋められた地雷から兵士たちを守るため、「スパイダーブーツ(spider boots)」を導入しているという。同通信は8月初め、ザポリージャとドネツクにいるウクライナ軍兵士たちがスパイダーブーツを履いて地雷除去訓練を行う場面を撮影した動画を公開した。また、ロシア軍がウクライナ戦線の数百マイルにわたって地雷を埋設し、これによってウクライナ軍の反撃が停滞していると報じた。
スパイダーブーツは靴底にクモの脚を連想させる4本の脚がついており、靴を履いた兵士の足が地面から約10センチ浮いたまま歩けるように製作された。スキーを履いたり、登山用のアイゼンを着用するように、軍靴を履いたまま着用できる。ポピュラー・メカニックスは、足が地面からある程度浮いているため、地雷が爆発した時、足や股間などに伝わる衝撃が軽減されると説明している。爆発した地雷の威力が地面とスパイダーブーツの間の空間を通じて左右に分散されるため、軍人の足に直接的な衝撃が多少減少するということだ。
もちろんスパイダーブーツを着用しても負傷は避けられない。ポピュラー・メカニックスは「靴を履いても負傷は避けられないが、足が切断される致命傷やそれによる出血にともなう死亡のリスクを低下させることができる」と説明した。
ウクライナ軍がスパイダーブーツを普及させるのは、地雷で手足を切断した軍人が増え続けているためだ。ウォールストリート・ジャーナル紙は今月1日(現地時間)、昨年2月のロシア侵攻以後、地雷で手足を切断したウクライナ兵の数は最大5万人に達すると報じた。
ポピュラー・メカニックスの説明によると、スパイダーブーツは1998年にカナダのある会社で開発され、当時多様な爆発にさらすテストを行ったところ、足に及ぼす破壊力をある程度減らす効果が認められたという。昨年カナダがスパイダーブーツ数足をウクライナに送り、ウクライナはこれを元にハルキウのある工場で自ら作り始めたという。1足の価格は406ドル(約6万円)と安くはないため、製作と普及のためにウクライナが募金も行っていると同誌は報道した。