ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者、エフゲニー・プリゴジン氏が謎の飛行機墜落事故で死亡したが、ワグネルの戦闘員たちを自国に連れてきたベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は依然として彼らを軍事的に活用するという野心をあらわにしている。
ルカシェンコ大統領は25日、自国の「ベルタ通信」に「ワグネル(の戦闘員たち)は生き延び、今も生きており、誰が望もうが望むまいがベラルーシで暮らす」とし、「私たちはプリゴジンと共に、ワグネルがここでどのように機能するかに関するシステムを作った」と主張した。
ルカシェンコ大統領は、西側メディアが報道したワグネルの戦闘員たちによるキャンプのテント撤去写真について「ある人は休暇を取り、ある人は郊外に住むことにした。テントはそれほど多く必要ではない」とし、「しかし私たちは彼らの電話番号と住所を知っている。グループの核心はここに残っている」と強調した。
また「必要ならば数日間最大1万人の人々がここに留まるだろう」とし「私たちがこの軍隊を必要とする限り、彼らは私たちと共に暮らし働く」と述べた。さらに、「ベラルーシの軍人はワグネルの戦闘員たち、特に特殊部隊の戦闘員たちの経験を積極的に吸収している」と明らかにした。
これに先立ち、ワグネルの戦闘員4000~7000人余りは6月、プリゴジン氏の武装反乱が失敗した後、ベラルーシに移動し法人として登録された後、訓練を行っている。23日にプリゴジン氏が乗ったとされる飛行機が墜落した2日後の25日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は非正規軍を含めすべての軍事任務を遂行する人々にロシア連邦に対する忠誠を誓うことを義務付ける大統領令に署名した。事実上、ワグネルを直接管轄権に置くための措置とみられる。
このような状況でベラルーシと直接国境を接しているNATO東部戦線のポーランドとリトアニアも状況を綿密に見守っており、緊張感に包まれている。24日、ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相はワルシャワで開かれた記者会見で、プリゴジン氏の死亡について「ワグネルの監督権はプーチン大統領に直接渡された」と警告した。
モラウィエツキ首相は「脅威がさらに大きくなるのか、小さくなるのか。私には(答えが分からない)修辞的な質問」だとしたうえで、「ロシアとベラルーシと国境を接する国々を不安定にしようとする挑発、脅迫など多様な種類の攻撃道具として、ワグネルが以前より多くあるいは以前と同じ程度に使われるだろう」と見通した。
リトアニアのギタナス・ナウセダ大統領も、プリゴジン氏の死亡で変わったことはないと強調した。AFPの報道によると、ナウセダ大統領は「私たちはプリゴジンの死が私たちをさらに落ち着かせたり、安保状況を改善させると考えてはならない」と述べた。
ワグネルの目標の一つは、NATO東部戦線一帯の状況を不安定にし、挑発することだというのがナウセダ大統領の主張だ。25日、リトアニアのアルビダス・アヌシャウスカス国防相もベラルーシの国境地域を訪問し、現地メディアに「すべてのプリゴジンは新しいプリゴジンに取って代わられるだろう」と述べた。
一方、プリゴジン氏の死亡4日目である26日、ロシアの都市のあちこちにプリゴジン氏を追悼する臨時空間が設けられ、多くの市民が献花した。サンクトペテルブルクのワグネル本部前に設置された追悼空間には、ロシア市民が続々と足を運んでいる。モスクワの中心街でも、市民たちが彼の写真と横断幕が設置された臨時追悼空間を訪問している。