本文に移動

汚染水放出、太平洋の漁師たちも恐れる…「何も情報がない」

登録:2023-07-06 03:33 修正:2023-07-06 08:16
バヌアツ=ゲッティ・イメージズバンク//ハンギョレ新聞

 「海は私たちの収入源であり生活の一部です。しかし私は、日本が何を準備しているのかまったく知りません」

 太平洋の島国であるバヌアツのワラ島で漁業を営むチャーリー・マレブさん(54)は4日(現地時間)、英紙「ガーディアン」のインタビューでそう述べた。マレブさんは、太平洋諸島に住み食糧と収入を海に依存する230万人のうちの一人だ。

 マレブさんは、日本の福島第一原発の汚染水放出計画について、「日本が何を準備しているのか、まったく知らない」とし、「漁業はワラ島の多くの人々の生活の一部であり、取った魚の大部分は食べ、少量は物や薬を買うために売っている」と述べた。マレブさんはイワシなどの魚を取るために、この日も早朝5時頃に海に網をかけ、夕方には長い木の枝で作った釣り竿を垂らした。

 ガーディアンは、日本の汚染水放出が秒読み段階に入ったなか、太平洋の多くの人たちは日本の汚染水放出計画について何の情報もなく、マレブさんのような漁師は汚染水放出が及ぼす影響を懸念しているという現地の雰囲気を報じた。マレブさんはガーディアンに「(日本の汚染水放出計画について)何の情報もなく、もっと知りたい」とし、「日本が(汚染水放出計画を)押しつけるのであれば、よくは分からないが私たちに影響を及ぼすと思う」と述べた。マレブさんはさらに「次世代もまた、私たちの美しいサンゴ礁や自然、海洋生物に依存して生きていかなければならない」と付け加えた。

 パプアニューギニアのニューアイルランド州の近くのサンゴ礁で魚突き漁をするハリー・ファーフォールさんも、ガーディアンに「ここはマグロの繁殖地であり、クジラの移動経路」だと言い、「この地域のすべての人が(日本の)汚染水放出について心配している」と述べた。ファーフォールさんは「私たちは、海洋環境と海に依存する人たちを危険にさらすことはできない」とし、「核廃棄物(汚染水)の影響に対応する準備はできていない」と付け加えた。

 バヌアツをはじめとする太平洋島しょ国18カ国が集まる太平洋諸島フォーラム(PIF)は1月、日本の汚染水放出計画に「深刻な懸念」を表明した。PIFのヘンリー・プナ事務局長は「わが国民は、日本の(汚染水放出)計画で得られるものはなく、次世代に多くの危険を伴わせることになる」としたうえで、「私たちすべてがこの問題について共通した理解を持つためには、より多くの努力と対話が必要だ」と述べたとガーディアンは報じた。プナ事務局長は「特に(日本の汚染水放出に伴う)影響を受ける国との包括的な国際協議をしなければならない」と付け加えた。

福島第一原発の敷地タンクに保管中の放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 一方、外信は4日、日本の汚染水放出計画が「国際安全基準を満たす」とする国際原子力機関(IAEA)の最終結論に注目した。

 米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)は、中国を含む周辺国の激しい反対にもかかわらず、日本が福島原発の「軽微な放射性廃液」(slightly radioactive wastewater)を海洋放出できるよう、国際原子力安全当局が「ゴーサイン」(green light)を出したと報じた。

 ブルームバーグ通信は「五輪サイズのプール500個ほどの規模」の汚染水放出は、早ければ今年夏に始まると報じた。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、日本メディアの世論調査結果を引用し、日本国内でも賛否両論が分かれていると報じた。これに先立ち、日本の民放ニュースネットワーク(JNN)は1~2日、全国18歳以上の1207人を対象に電話世論調査を実施した結果、回答者の45%が日本の汚染水放出計画に賛成し、40%が反対したと報じている。

チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1098810.html韓国語原文入力:2023-07-05 23:11
訳M.S

関連記事