欧州連合(EU)は、福島産の農水産物の輸入規制を撤廃する方針だ。日本政府が執拗に撤廃を要求してきた中、最近外交・安保で日本とEUの協力が強化されたことが影響を及ぼしたものとみられる。
共同通信は30日、「欧州連合(EU)欧州委員会が2011年の東京電力福島第一原発事故後に日本産食品に課してきた輸入規制を完全に撤廃する方向で最終調整していることが29日、EU関係者の話で分かった」と報道した。EUは7月13日にベルギーのブリュッセルで開催される予定の日本とEUとの首脳会談の前に、加盟国の承認を得て今年の夏中に規制を撤廃する予定だという。
規制が撤廃されれば、福島産の一部の水産物やキノコ、宮城県産のタケノコなど、10県の農水産物を輸入する際に求められてきた放射性物質の検査証明書の提出が不要になる。27カ国が加盟するEUで規制がなくなれば、日本にとってはかなりの成果になる。
日本政府は福島第一原発の汚染水の海への放出を前に福島産農水産物の「輸入規制の撤廃」の流れを作り、安全性を強調するために、EUに対して執拗に働きかけてきた。読売新聞は「EU内では、福島県産については慎重論が強かったが、日本とEUの関係拡大の機運が高まる中、EUの執行機関・欧州委員会が完全撤廃を推進した」と報じた。
日本の農林水産省の資料によると、2011年3月の福島第一原発爆発事故以降、55の国と地域が輸入規制を行っていたが、現在は12カ国・地域のみ。福島県などの一部地域の農水産物を輸入する際、放射性物質の検査証明書を要求しているのはEU、ノルウェー、スイス、アイスランド、ロシアなどの7カ国・地域。輸入を完全に禁止しているのは韓国、中国、台湾、香港、マカオの5カ国・地域で、主に日本の周辺国だ。このうち台湾は昨年2月、福島および近隣5県の農水産物に対する輸入禁止措置を解除しており、現在はキノコ類をはじめとする一部の品目に対する制限措置だけが残っている。
日本経済新聞は「EUに追随してアイスランド、スイス、ノルウェーといった欧州域内の国なども規制を解除すると見込まれている。…輸入規制を課す国・地域は12から7前後に減る見通しだ。中国、ロシア、韓国、台湾、香港などを残すのみとなった」と強調した。
日本による韓国に対する福島産農水産物の輸入規制の撤廃要求は、さらに強まる見通しだ。日本と友好関係にある国々が相次いで輸入規制を撤廃しているためだ。日本は福島産水産物に安全でないというイメージが生じていることを、これまで輸入禁止措置を続けている韓国などのせいにしている。共同通信は「日本政府としては規制を維持する中国や韓国などとの交渉が今後の焦点となる」と指摘した。
韓国は福島およびその近隣の群馬、栃木などの8県のすべての水産物の輸入を禁止している。農産物も福島など15県のコメ、茶、キノコ類など27品目の輸入を禁止している。日本政府は福島産の水産物に対する輸入禁止措置は不当だとして世界貿易機関(WTO)に韓国を提訴したが、韓国は2019年4月に勝訴している。