日本政府が東京電力福島第一原発に保管している放射性物質汚染水を今夏、海に放出する予定である中、友好的な世論づくりのための主要7カ国(G7)首脳らの「歓迎声明」を引き出すことに失敗した。
G7首脳らが20日に総合的な合意事項を発表した最終共同声明(G7広島首脳コミュニケ)には、2011年3月11日の東日本大震災で爆発事故が起きた福島第一原発への対応に関する内容も含まれた。
G7首脳らは声明で「東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業の着実な進展とともに、科学的根拠に基づき国際原子力機関(IAEA)とともに行われている日本の透明性のある取組を歓迎する」と明らかにした。福島原発汚染水の海洋放出については「多核種除去システム(ALPS)処理水の放出が、IAEAの安全基準及び国際法に整合的に実施され、人体や環境にいかなる害も及ぼさないことを確保するためのIAEAによる独立したレビューを支持する」と明示した。
G7首脳らは福島原発の廃炉作業には歓迎の立場を明らかにしたが、汚染水の海洋放出については「IAEAによる独立したレビューを支持する」とだけ言及した。
これは先月16日、北海道の札幌で開かれたG7気候・エネルギー・環境相会議で採択された共同声明とほぼ同じ内容だ。今回の首脳会議の声明では福島第一原発と関連した言及が減り、「オープンで透明性をもって、国際社会との緊密なコニュニケーションをとりながら進められているこれらの取組を継続するよう、日本に奨励する」という文言だけが抜けている。
日本政府は今回の広島サミットを目標にG7の支持を得て福島原発汚染水の海洋放出を円滑に進めることを目指したが、主務省庁の主要7カ国気候・エネルギー・環境相会議で、ドイツなど欧州諸国の反対により共同声明に「歓迎する」という文言を入れることに失敗した。
当時、西村康稔経済産業相が共同声明内容を説明する記者会見で、「(福島)処理水の海洋放出を含む廃炉の着実な進展、科学的根拠に基づく我が国の透明性のある取り組みが歓迎される」と説明したが、隣に座っていたドイツの環境相が「処理水の放出について歓迎すると言うことはできない」と反論した。結局、西村長官が「私の言い間違い」と釈明する一幕もあった。