スーパーコンピューターや人工知能(AI)などに使われる次世代半導体を日本で生産するため、米国が研究と人材育成から販売に至る全分野で積極的に協力することにした。
ジーナ・レモンド米商務長官と西村康稔経済産業相は5日(現地時間)、ワシントンで会談し、半導体など経済安全保障分野の協力を強化することで合意した。この会談には、米国のIT大手のIBMと日本の大手企業8社が昨年作った半導体会社「Rapidus(ラピダス)」の幹部も同席した。
両社は次世代半導体の共同研究開発だけでなく、IBM側がラピダスの技術者の育成と販売先の開拓などにも協力することにした。日本経済新聞は「IBMの高性能コンピューター向けの半導体生産をラピダスが受託する」と報じた。先月、両社は次世代半導体の共同開発を進める内容の協約を結んだ。
ラピダスは新生企業であるがゆえに優秀な人材と販売先の確保が大きな課題に挙げられていたが、今回IBM側が協力を約束したことで、負担を大きく減らすことになった。西村経済産業相は会談後、記者団に対し、「両社の協力は日米間の象徴的なプロジェクトだ。力強く後押ししていきたい」とし、「日本が次世代半導体を早期に国産化できるよう協力を強化する」と述べた。
米日は、台湾有事が発生した場合、次世代半導体の生産能力世界1位である台湾から半導体の供給が困難になり致命的な打撃を受けるとして、新しいサプライチェーンの構築を目指してきた。また、今後高度な通信網や自動運転などに使われる次世代半導体の需要が増え続けると予想されることから、これを先取りしようとする目的もある。
昨年11月に設立したラピダスは、トヨタやNTT、ソニーなど日本を代表する企業8社が集まって作った次世代半導体量産会社だ。これらの企業が70億円を出資し、日本政府が約700億円以上を支援する予定だ。ラピダスが主に生産する予定なのは幅が2ナノ(ナノメートル、1ナノメートルは10億分の1メートル)の半導体だ。半導体は回路の幅が狭いほど性能が高い。ラピダスは2020年代後半に製造ラインを構築し、2030年頃から製造事業への本格的な参入を目指している。
次世代半導体分野をリードしている台湾のTSMCと韓国のサムスン電子の場合、3ナノ製品の量産技術をすでに確保しており、2ナノ製品は2025年から生産を計画している。