ウクライナ戦争で守勢に追い込まれたロシア軍が、9月の30万人に続き再び動員令を発表すると懸念される中、ロシアの野党はウラジーミル・プーチン大統領に対し「予備役の部分的な動員令」の終了を公式に確認する大統領令を発するよう要求した。
ロシアの自由主義系政党「ヤブロコ」のウェブサイトなどによると、北欧に隣接しモスクワ北方に位置するカレリア共和国の議会に所属する2人の議員が22日、プーチン大統領に書簡を送り、このように要求した。同党所属のエミリア・スラブノワ、インナ・ボルチェフスカヤの両議員は、先月28日にセルゲイ・ショイグ国防長官が「部分的な動員令は完了した」と放送で発表したものには法的効力がないとし、動員終了を大統領令で確認することを求めた。ヤブロコは市場経済を支持する自由主義系の政党。プーチン政権に批判的で、今回の戦争に懐疑的な立場を表明してきた。
スラブノワ議員はこの日、自身のテレグラムに「ロシア国防省は動員令が終了したと述べたが、徴集が再び起こらないという法的保障はない」と書き込み、プーチン大統領が9月21日の大統領令によって予備役徴集を命じたように、これが公式に終了したということも同じ方式で発表することを要求した。彼らは、法的効力のない動員令の終了はロシア人の不安と恐怖をかきたてると強調した。
ロシア国民は、冬を前に再び動員令が発表されるのではないかと不安にさいなまれている。米国の戦争研究所によると、ロシアの極右系ブロガーたちは、今年12月または来年1月に新たな動員令が下されるだろうという主張をオンラインなどで流している。
ウクライナも、ロシアが新たな動員令を下すだろうとの見通しを示している。内務相の顧問を務めるアントン・ヘラシチェンコ氏は22日、自身のツイッターに「ロシアは来年1月に2度目の動員令を発令する準備をしている。50万~70万人を動員する計画だ。以前に動員された30万人はすでに戦死あるいは負傷したか、戦闘意志を喪失している」と述べ「ロシア人は当局に対して静かに不満を持ちはじめた」と付け加えた。英国「スカイ・ニュース」は、この主張が事実なら、これはロシアが戦争の長期化に備えており、戦況がプーチン大統領の考えていたやり方で解決されていないことを示唆すると分析した。