米国の代表的な対北朝鮮強硬派であるジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安保担当)が、米国政府内で北朝鮮の政権交代についての論議があったと明らかにした。また、米国などの安保のために必要ならば北朝鮮の核施設を破壊すべきだと主張した。
ボルトン元補佐官は22日(現地時間)、「ボイス・オブ・アメリカ」の放送に出演し、北朝鮮の核問題について「外交以外に選択肢はあるのか」と司会者に問われ、「北朝鮮の政権交代は全面的に可能だと思う」と述べた。続いて「米国政府内部で北朝鮮の政権交代についての非公開議論はあったのか」との問いには「政権交代についての議論は明確にあった」とし「政権交代には必ずしも外部の介入が必要なわけではないが、暴政の中で暮らすことを望まない北朝鮮住民を支援しなければならない」と主張した。同氏は度重なる問いにも「北朝鮮の政権交代について多くの議論があった」とし、「私も一部の議論に参加した」と答えた。
ボルトン元補佐官は「核攻撃から罪のない民間人を保護すべき政府が、別の選択肢を考えるのは職務放棄」だとも述べた。また「米国は北朝鮮や他のならず者国家からの脅しは絶対に受けない」とし、「米国、韓国、日本を保護するために北朝鮮の核施設を破壊しなければならないなら、それも考慮すべき」だと主張した。
ボルトン元補佐官は北朝鮮の政権交代について、いつ、どのような形式で、どのような内容を論議したのかは明らかにしなかった。同氏は初の朝米首脳会談が行われる2カ月前の2018年4月に、当時のドナルド・トランプ大統領の国家安保担当補佐官に起用されたが、トランプ政権の公式の立場は「北朝鮮の政権交代は推進しない」というものだった。ボルトン元補佐官は今回のインタビューで「世襲の共産主義独裁者、金正恩(キム・ジョンウン)」と述べていることから、政権交代論議は金正恩国務委員長の統治時期にあった可能性もある。しかし、ボルトン元補佐官は金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の統治期にも国務次官補や国連駐在米国大使などを歴任しているため、それより過去に議論があったことを示唆している可能性もあるとみられる。
ボルトン元補佐官は2019年2月にベトナムのハノイで行われた2回目の朝米首脳会談で米国の要求水準を高め、会談が合意なしに終わるのに決定的な役割を果たした人物だと指摘される。これについて同氏は、「会談が『ノーディール』で終わったのは正しかった」とし、「外交によっては絶対に北朝鮮の核計画を終わらせることはできない」と主張した。