日本政府は電力の安定的な供給などを理由に、最長60年まで稼動できる原発の寿命を延ばすため法改正を検討している。期間制限を削除する案が主に議論されており、規制がなかった2011年の福島原発事故前に戻る様相だ。
日本経済新聞は6日付けで、「経済産業省は5日、原子力規制委員会の会合で、原則40年、最長60年と定める原子力発電所の運転期間の延長に向けた法整備を検討する方針を示した。規制委も事実上認める考えを明らかにした」と報道した。
この日の会合で経済産業省は、電力の安定的な供給、脱炭素促進などのために原発を最大限活用するという政府の方針を説明し、原発の使用期間をなくすか、最長60年の上限を延長する案を検討すると明らかにした。
原子力規制委の山中伸介委員長は、会議後の記者会見で原発の寿命について「利用政策側の判断でなされるべきもので、規制委から意見を言うことはない」と述べた。経産省の検討に任せるという意見を表明したのだ。山中委員長は「最長60年の規定」についても「その部分は抜け落ちることになるかと思う」として「運転期間がどうなろうとも厳正な規制ができる仕組みにしていきたい」と強調した。原発の寿命に対する規制をなくす代わりに、安全性検査などの認可方式に転換するという意図と解釈できる。毎日新聞は「委員から大きな異論は無く、規制委は運転期間の上限の延長を事実上容認する形となった」と伝えた。経産省は年末までに結論を出す方針だ。
日本の「核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」は、原発の運転期間を原則として40年としているが、規制委の許可を受ければ20年延長し、最大60年まで稼動できる。この規定は、2011年3月の東日本大震災当時に起きた福島第一原発爆発事故後の2012年に新たに作られた。
現在、日本の原発33基(運転中の原発は6基)のうち半分を超える17基が30年以上の老朽化した原発だ。日本政府は原発を新たに増設したり、建て替えも検討しているが、時間や費用など課題が多い。既存の原発の寿命を延ばす方式で一定規模の原発を維持するという構想だ。
問題は世論だ。稼動40年が迫っている鹿児島県川内原発の使用延長に反対する市民団体の関係者は、南日本新聞に「フクシマの教訓を忘れたのか。事故前に戻ってしまう。住民の生命を軽視している」と反発した。朝日新聞は「40年を超えて原発を動かすことへの(世論の)懸念も根強く、さらに運転期間を延ばすことには批判が強まる可能性がある」と伝えた。