ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「健康状態」をめぐり様々な疑惑が持ち上がっている。正確な事実確認が難しいロシアの最高指導者の「健康」に関して様々な説が飛び交っているのは、長期化の兆しをみせるウクライナ戦争の悲劇を止める人物がプーチン大統領しかいないというもどかしい現実の反映とも言える。
最近プーチン大統領の健康異常説に再び油を注いだのは、ウクライナ国防総省のキリロ・ブダノフ軍事情報部長だった。ブダノフ氏は13日、英国の「スカイニュース」とのインタビューで、プーチン大統領が「がんと他の病気で非常に深刻な状態(very sick)」だと述べた。同氏はこのような「衝撃的ニュース」を伝えながらも、これを裏付ける根拠は明らかにしなかった。一方、同氏は3月27日、「ロシアがウクライナでこれまで占領したすべての地域を集めて、朝鮮半島でそうだったように『準国家のような実体』を作ろうとしているのではないか」という懸念を示した。この予測は、ロシアがドンバス地域の二つの州だけでなく、ヘルソン州まで合併を狙っていることが確認され、的中した。
また、米誌「ニューラインズ」は14日、ロシア新興財閥の録音記録を引用し、ブダノフ氏が「プーチン大統領が血液がんにかかって苦しんでいる」とし、「プーチン大統領ががんやクーデターなどで死亡することを願っている」と語った事実を公開した。しかしニューヨーク・タイムズやフィナンシャル・タイムズなどいわゆる有力紙では、プーチン大統領の健康と関連し報道を大きく取り上げていない。
1952年生まれで、今年69歳のプーチン大統領の健康と関連して異常説が本格的に浮上したのは、先月21日、セルゲイ・ショイグ国防相との会談の場面が公開されてからだった。ロシア大統領府が当時公開した12分間の動画では、プーチン大統領が会談を始めた直後から右手でテーブルの端を強く握り、会談の間じゅう離さない姿を確認することができる。これを見たウクライナのジャーナリストたちがツイッターなどを通じて「ウクライナに侵攻した2月末に比べてプーチン大統領の健康が悪くなったようだ」という書き込みを残す一方、英国のルイス・メンシー元下院議員(保守党)など西欧の関係者たちも「プーチン大統領がパーキンソン病を患っている。テーブルを強く握っているのは右手が震えるのを隠すため」という見解を示した。戦争の早期終結を望む人々が、プーチン大統領の健康と関連した小さなシグナルにも敏感に反応し、様々な推測をもとに噂を流している。
プーチン大統領の健康については、以前にも噂が絶えなかった。ロシアの独立メディア「プロエクト」は先月1日、プーチン大統領が2016年と2019年の間に甲状腺がん手術を受けた可能性が高いと報道した。さらに遡れば、バレリー・ソルボレー氏などロシアの政治アナリストなどが2020年11月、プーチン大統領ががんまたはパーキンソン病を患っているという疑惑を持ち上げた。
今年2月末、ウクライナ侵攻を決定した後、当初の目標だったウクライナ首都キーウ占領に失敗するなど、戦況が思うように行かず、プーチン大統領が深刻なストレス状態にあることは明らかだ。9日、モスクワの赤の広場で開かれた対ドイツ戦勝記念行事でも、プーチン大統領は以前よりかなり衰弱した姿で現れており、参戦勇士たちと並んで座る際にも一人だけ分厚いひざ掛けを使っていた。歩き方も以前とは違って足を引きずる様子だった。しかし、14日にはドイツのオラフ・ショルツ首相やフィンランドのサウリ・ニーニスト大統領と電話会談を行うなど、公務を正常にこなした。