米国のジョー・バイデン大統領は、ウクライナのブチャなどでロシア軍が犯した民間人大量虐殺と関連して、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を戦犯裁判にかけるべきだと表明した。
バイデン大統領は今月4日(現地時間)、記者団に対し「ブチャで何が起こったかを見たではないか。これは彼(プーチン大統領)を戦犯と規定するのが正当だということを示している」と述べた。同大統領は「ブチャで起きたことはとても衝撃的だ。われわれは戦犯裁判が実際に進められるよう具体的な根拠を集めなければならない」と述べた。また「プーチンは責任を取らなければならない」とし、プーチン大統領を戦犯裁判にかける意思を明らかにした。
ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)も「われわれはこれが無作為に発生した事件や特定個人の悪行だとみなさない」とし「これは(ロシア軍の)計画の一部だ」と述べた。意図的で計画的な戦争犯罪行為と規定したのだ。同補佐官は、ロシア軍とプーチン大統領に責任を問う方策を同盟国と協議する計画だとし、「国際刑事裁判所(ICC)も戦争犯罪を裁判できる所だが、他の紛争に対してこれとは違う機構が設置されたこともある」と述べた。これは、ICCが設置される前に特定地域での戦犯行為を処罰するために設けられた特別法廷を念頭に置いたものとみられる。ウクライナ戦争を専門に扱う特別法廷を設けることも可能だという意味だ。
しかし、バイデン大統領らは、ブチャなどで起きたことを「集団虐殺(ジェノサイド)」とまでは規定しなかった。サリバン補佐官は「われわれは残虐行為と戦争犯罪を目撃した」としつつも「ウクライナ人の生命を体系的に剥奪した行為が、まだ集団虐殺の水準まで達したとみてはいない」と述べた。ブチャなどキーウ(キエフ)周辺からロシア軍が撤退した直後、400人以上の民間人が虐殺されたことが把握されると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領をはじめスペインなどの欧州の一部首脳は、ロシア軍の行為を集団虐殺と規定している。
バイデン大統領は、ロシアに対し制裁を追加する方針も再確認した。サリバン補佐官は、追加の制裁の内容を今週中に発表すると明らかにした。一部の欧州諸国は、米国のようにロシア産エネルギーを全面的に輸入停止することを主張している。
米国はロシアの国連人権理事会への参加資格停止も進めている。米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は「ロシアが人権理事会に参加するのはお笑い草」とし、国連総会にこれを申請すると明らかにした。国連総会は継続的に深刻で組織的な人権侵害を行っている国に対し、193カ国の3分の2以上の賛成で人権理事会への参加資格を停止させることができる。
欧州側も、民間人虐殺に対する強硬対応を重ねて確認した。AP通信は、ウルズラ・フォンデアライエンEU委員長がウクライナ検事の戦争犯罪調査を支援するために調査官を派遣するという方針を明らかにしたと報じた。米国をはじめとする約40カ国は、ウクライナで発生した戦争犯罪などの残酷行為を調査する委員会を発足させるという国連人権理事会の決議を受け、後続作業に参加している。
一方、「ニューヨーク・タイムズ」は、遺体が街頭に置かれたのは先月30日にロシア軍が撤退した後だとロシア国防省が主張していることに対し、衛星写真を比較した結果、ブチャの街頭で発見された遺体は数週間にわたってそこに放置されていたと報じた。