ロシアの軍艦の投降要求に対して、罵りとともに「くたばれ」と答えたウクライナ軍人に勲章が授与された。戦死したと当初は誤って伝えられたが、ロシアとの捕虜交換を通じて帰還し、表彰された。
ウクライナ中部チェルカースィ州のイゴル・タブレッツ知事は29日、国境警備隊員のロマン・フリボフ氏に勲章を授与した。チェルカースィ当局が公開した動画を見ると、タブレッツ知事がカーキ色のシャツを着たフリボフ氏に、「祖国を守る他の防御者たちと同じく、あなたは大切な人」だと述べ、メダルを授与する場面を確認できる。フリボフ氏は「助けてくれたウクライナ人たちに心から感謝する。力と正義は私たちの側にある」と述べた。
フリボフ氏は、ロシアがウクライナを侵攻した先月24日、黒海にある面積0.17平方キロメートルの小さな島であるズミイヌイで同僚らと勤務していた。午後、彼らの前にロシア黒海艦隊所属のヴァシリー・バイコフが現れた。この艦船は無線でズミイヌイ島の警備隊員たちに「不必要な流血と犠牲を避けるため、武器を下ろして降伏することを勧告する。さもなければ砲撃する」と威嚇した。ズミイヌイ島の警備隊員たちの間でしばらく会話が交わされた後、フリボフ氏が口を開いた。「くたばれ、ロシア軍艦」。この対話を録音したファイルはインターネットを通じて急速に広がり、ロシアの侵攻に対するウクライナの抵抗を象徴するスローガンとして使われ始めた。
これらのエピソードは、隊員13人全員が戦死したと誤って伝えられ、さらに有名になった。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も事件当日、国境警備隊員たちが「最期まで守り、英雄的に亡くなった」と述べた。一方、ロシア国防省は、ズミイヌイ島にいたウクライナ軍人は82人で、全員が降伏したと発表した。ウクライナ海軍は開戦4日目の先月27日、ズミイヌイ島の警備隊員が生存しているものとみられるとして、当初の発表を修正し、ゼレンスキー大統領は、彼らが「(ウクライナが捕らえたロシア人と)交換された。ロシアが提案し、迷うことなく交換した。亡くなった人もいる。彼らは英雄」だと述べた。
ウクライナ郵便局は今月初め、ズミイヌイ島の警備隊員のエピソードを記念する切手を発行するして、デザインを公募した。一人の軍人が海岸に近付く軍艦を眺め、中指を立てる姿のデザインが12日に最終選定された。