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NATOはウクライナの加盟を本当に望んだのか

登録:2022-03-18 08:32 修正:2022-03-18 10:20
ブッシュ米大統領が主導し、「加盟国の同意」表明したブカレスト宣言 
独仏は当時も「慎重」…NATO加盟に向けた実務の進展は見られず
先月22日、ベルギーのブリュッセルにある北大西洋条約機構(NATO)本部に30の加盟国とNATOの旗がはためいている/AP・聯合ニュース

 ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟を放棄する「中立化」を媒介に、ロシアと停戦交渉に入ったことが分かり、この問題に対するNATOの立場に関心が集まっている。

 ロシアがウクライナを侵攻した先月24日、ベルギーのブリュッセルにあるNATO本部で開かれた記者会見で、あるウクライナの記者がイェンス・ストルテンベルグ事務総長に「もし(2008年に)ブカレストでウクライナがNATO加盟の招待を受けていれば、今日のような事態はなかったと思わないか」と尋ねた。ウクライナが当時NATOに加盟していたなら、ロシアが今のように侵攻できなかっただろうという趣旨の質問だった。ストルテンベルグ事務総長は「私たちがブカレストで明らかにしたのは、すべての国には自分の道を選ぶ権利があるということだ」としたうえで、「ウクライナがNATO加盟を望むかどうかを決めれば、その後、加盟国30カ国がそれを受け入れるかどうかを決定する」という原則的な答えを出すにとどまった。

 ウクライナの記者が取り上げたブカレスト首脳会合とは、ウクライナのNATO加盟をめぐるロシアの激しい反発を招いた出発点とも言うべき事件だ。NATO加盟国の首脳らは2008年4月、ルーマニアの首都ブカレストで会合を開き、「ウクライナとジョージアがNATO加盟国になりたいという意向を表明したことを歓迎する。我々は今日、これらの国々がNATO加盟国になることに同意する」という内容が書かれた宣言文を採択した。

 米国のジョージ・ブッシュ米大統領(当時)が「NATOの扉は自由に対する愛を共有する欧州の他の諸国にも開かれていなければならない」とバラ色の宣言文の採択に主導的な役割を果たした。しかしフランスやドイツなどは、旧ソビエト連邦に属し、ロシアと国境を接するウクライナとジョージアの加盟はロシアを刺激する恐れがあるとして、慎重な立場を示した。実際、ブカレスト首脳会合から4カ月後の2008年8月、ロシアはジョージアに侵攻しており、それから14年後、標的はウクライナに変わった。

 ウクライナ政府は2019年にNATOと欧州連合(EU)への加盟計画を明示する憲法改正案を発効させるほど、NATO加盟に強い意志を示してきたが、これまで加盟国になるための第一段階である「加盟のための行動計画(MAP:Membership Action Plan)」の地位すら与えられていない。昨年11月、ストルテンベルグ事務総長は「30の加盟国の意見が一致しなければならないが、まだNATO内の合意はない」と述べた。「扉は開かれている」と言いながらも、実際には扉を開くことができない状況ということだ。

チョ・ギウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1035328.html韓国語原文入力:2022-03-1802:00
訳H.J

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