北方のベラルーシからウクライナ国境を突破したロシアの機甲部隊が、首都キエフ郊外32キロ付近まで接近していることが確認された。キエフの命運は風前の灯のようにみえる。
米国のロイド・オースティン国防長官は24日、米下院でのブリーフィングで「ロシアの機械化部隊がベラルーシを通ってウクライナに入り、キエフの20マイル(32キロ)付近まで進入した。ロシアから進入した別の部隊も少し離れてはいるが、いずれもキエフに向かっている。彼らの目標である都市を包囲し、政府を転覆させるためのものとみられる」と述べた。キエフに迫るロシアの機甲部隊について、ウクライナ首脳部を叩くための「斬首部隊」だとする情報判断を下したかたちだ。
ロシアの弾道ミサイルと巡航ミサイルも相次いでキエフを攻撃していることが確認されている。ウクライナ内務省のアントン・ヘラシチェンコ顧問はこの日「キエフに対するロシアによる巡航ミサイルまたは弾道ミサイルでの攻撃が続いている」と語った。CNNの現地取材陣もこの日未明、少し離れた所から巨大な轟音が2回聞こえ、その他に少なくとも3回の爆発音が確認されたと伝えた。DPAは、ドニエプル川東岸の住宅用の建物が攻撃されて火災が発生し、ミサイルの破片が周辺を襲ったと伝えた。米国防総省は、開戦初日の24日にロシアがウクライナに対して160発のミサイルを発射したと発表した。
オースティン国防長官はこの日、ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相と電話で会談し、「米国はウクライナの主権と領土の単一性を尊重する。根拠もなく正当性もないロシアの攻撃に対して防衛支援を行う」と述べた。しかし米国と北大西洋条約機構(NATO)は、いずれもウクライナが「集団安全保障」を共有する加盟国ではないことをあげ、直接の武力介入はしないとの立場を示している。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相は攻撃が伝えられた直後、ツイッターに「おぞましいロシアのロケットがキエフを攻撃した。我々の首都がこのような経験をしたのは、1941年にナチスドイツに攻撃された時だった。ウクライナはかつての悪に打ち勝ったし、今回もそうなるだろう。プーチンを止め、ロシアを孤立させよう」とする悲痛な訴えを記した。