本文に移動

「岸田政権から見えてくるのは1930年代の日本社会」

登録:2021-11-16 06:54 修正:2021-11-16 08:41
文学評論家の渡邊澄子名誉教授 
韓国の抵抗詩人の詩集に対する「書評」で
渡邊澄子大東文化大学名誉教授=室生犀星記念館ホームページより//ハンギョレ新聞社

 日本の文学研究者が韓国の抵抗詩人の詩集を紹介し、自国の右傾化を批判した。

 全南科学大学のキム・ジョンフン教授の話を総合すると、今年9月、ムン・ビョンラン記念事業会準備委員会(委員会)が日本で発行した詩集『一つの星を歌おう―朝鮮詩人 独立と抵抗の歌』について、大東文化大学の渡邊澄子名誉教授(91)が日本の書評専門誌「週刊読書人」第3415号(11月12日発行)に書評を掲載した。

 同書は、詩人の故ムン・ビョンラン氏(1934-2015)が生前に慕った尹東柱(ユン・ドンジュ)、李陸史(イ・ユクサ)、韓龍雲(ハン・ヨンウン)、沈薫(シム・フン)、李相和(イ・サンファ)、趙明煕(チョ・ミョンヒ)ら抵抗詩人の主要作品10編と生涯を簡略にまとめたものだ。編訳はキム教授が担当した。

 渡邊教授は「民族の尊厳を守るために―日本の三〇年代を生き、闘った抵抗詩人たち」と題する書評で「岸田政権から見えてくるのは、識者が警鐘を鳴らしているが、一五年戦争の幕開けから始まった、多喜二虐殺が象徴する一九三〇年代(戦前)の日本社会である。危機的状況下の現今、本書の刊行はまさに時宜を得たものと言える」と言及した。

 渡邊教授は同書評で「六人中三人が獄死・刑死であることの残酷さ。彼等は植民地民としての屈辱・鬱憤から、民族の尊厳を守るために死を賭して抵抗した人たちだった」とし、「総督府による凄まじい監視・弾圧下にあっての隠喩的表現に、植民地朝鮮における民衆の苦悩の深さを知らねばならぬ」と強調した。彼女は「引用したいが紙幅がない。『奪われた野にも春は来るのか』(李相和)の初句と結句の『いまは他人の地、奪われた野にも春は来るのか』、『しかし今は野を奪われ、春さえも奪われそうだ』のみ、せめてもとして挙げておこう」と記した。

 渡邊教授は植民地時代に朝鮮で行われた権力濫用と朝鮮の文化統制状況を告発した著書『植民地・朝鮮における雑誌「国民文学」』と良心的作家として知られる松田解子に関する評論集『気骨の作家 松田解子 百年の軌跡』などを出版した進歩的文学評論家だ。

キム・ヨンヒ記者kimyh@hani.co.kr(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1019404.html韓国語原文入力:2021-11-1602:02
訳H.J

関連記事