米商務省が要求した半導体サプライチェーン情報の提出時限(現地時間8日)を1日後に控え、TSMCなどの主要企業は関連資料を続々と提出している。しかし、ほとんどが敏感な情報を除いていることが分かり、米国がこれらの企業にさらなる情報提出を要求する可能性もあるという見通しが出ている。
8日(韓国時間)に米連邦政府の意見収集ホームページ(Regulations.gov)を確認したところ、世界最大手の半導体ファウンドリー(委託生産)企業のTSMC、D-RAM世界シェア3位の米国のマイクロン、イスラエルのファウンドリー企業のタワーセミコンダクターなど、23のグローバル企業や大学などが資料を提出した。
これらの企業は、主な顧客企業の情報などの敏感な情報を除いた資料を提出したものとみられる。タワーセミコンダクターは、同ホームページに誰でも見ることのできる2つのエクセルファイルをアップした。確認すると、生産製品の工程ノードやプロセスごとの平均製造リードタイムのような情報は公開したが、売上高基準で上位3社に入る顧客企業を尋ねる質問に対しては「ナスダック(NASDAQ)上場企業として情報を公開できない」とし、回答していない。また、機密維持協約(NDA)を理由に顧客企業の後工程事業所の位置などの情報も公開していない。
マイクロンは一般人が閲覧できないファイルのみを提出した。TSMCは非公開のファイルと共に、ほぼ空白状態の公開ファイルを提出した。ただしこの日、台湾の「聯合報」は「(資料を提出した23企業のうち)TSMCが最も明確な回答を提出しており、この2年間の車両向け半導体の売上高は(TSMCの全売上の)3~4%水準」と報じた。この報道通りなら、TSMCは当初米国が要求した「顧客企業ごとの半導体取引状況」の代わりに、製品が用いられる産業ごとの売上企業の割合を公開したものと推定される。
このため、現時点で主要企業が提出した関連情報の水準は米商務省の期待を満たしておらず、追加の要求などの後続措置が取られるのではないかという観測が出ている。ロイター通信は先月21日(現地時間)、米商務省の報道官が「(情報提出に関して)強制措置を取るべきかどうかは、どれくらい多くの企業が応じるか、および提供された情報の質にかかっている」と述べたと伝えている。これに対し、産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は「資料をすべて公開で提出した企業のものは企業説明(IR)報告書にすべて出ている内容であり、非公開で出した企業の情報も具体的ではないだろう」とし「米国がどんな制裁を加えるか分からない状況で、企業が先に(情報を)すべて出す必要はなかった。(8日の提出期限以後)米国政府が今の水準では不足だと判断して追加の情報を要求するものとみられる」と述べた。
一方、この日までにサムスン電子や、米商務省に協力の意思を表明していたSKハイニックス、インテル、ゼネラルモーターズ(GM)、インフィニオンなどは、資料を提出していない。先に資料を提出した企業と似たような水準の情報を提供するものとみられる。