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流動性危機の恒大…子会社の売却白紙、週末にデフォルト現実化の危機

登録:2021-10-22 02:47 修正:2021-10-22 08:26
国有企業との子会社売却交渉が決裂 
ドル建て債の利払い猶予期間が終了間近 
資産売却による流動性確保が難航 
中国当局、破産間近説にも「管理可能な水準」
9月22日、流動性危機に陥っている中国第2位の不動産開発大手「恒大集団」の上海社屋前で、五星紅旗が翻っている=上海/AFP・聯合ニュース

 最悪の流動性危機に陥っている中国第2位の不動産開発企業「恒大集団(エバーグランデ・グル-プ)」の自助努力が壁にぶつかっている。主要子会社の売却交渉が決裂したため、週末に猶予期間が満了するドル建て債の利子支払い期限を守るのは難しい見通しだ。恒大の債務不履行(デフォルト)が現実化するだろうとの懸念が高まっている。

 21日のロイター通信などの報道を総合すると、恒大が子会社の株式売却に向けて交渉を行ってきた競合企業、合生創展(ホプソン・デベロップメント)は前日夜、香港証券取引所の公示を通じて「売却交渉は終了した。合意していた取引が予定通り行われるのは難しくなった」と発表した。売却交渉の開始と同時に取引が中断していた恒大株はこの日、取引再開にともない、序盤から暴落した。

 合生創展側は1日、恒大の主力子会社である不動産会社、恒大物業の株の50.10%の購入に向けた交渉に入ったと発表していた。同社は「1株当たり3.70香港ドル、総額約200億香港ドル(約3兆290億ウォン)規模の株を購入する計画だ」としていたが、当初は取引完了予定日に設定していた12日が過ぎても、交渉は妥結しなかったという。

 恒大物業も別の公示を通じて「取引は成立しなかった」とし「合生創展は株式売却の前提条件を満たしていない」と述べた。前提条件について恒大側は具体的に触れていないが、「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は合生創展の関係者の話を引用し、「株式売却代金の支払い方式をめぐる意見の隔たりを埋められなかったことが、交渉決裂の原因」と伝えた。恒大側は売却代金の即時支払いを要求したのに対し、合生創展側は経営状況を綿密に検討した後に支払うとの主張を曲げなかったという。

 350兆ウォン(約33兆8000億円)台の莫大な負債を抱えている恒大は先月23日に、額面20億3000万ドル規模のドル建て債の利子8350万ドル(約981億ウォン)を支払えなかったため、債務不履行の危機に追い込まれている。債券発行当時の契約により設定された「利払い予定日から30日間の猶予期間」も終了日の23日が迫っているが、流動性確保に向けた資産売却などの自助努力は全く進んでいない。

 ロイターは16日、「資金調達が急がれる恒大は、今年8月から中国南部の広東省広州を根拠地とする国有不動産会社『越秀』と、26階建ての香港社屋の売却交渉を行ってきた。しかし越秀側は17億ドル規模の取引を放棄することを決めた」と伝えている。恒大は電気自動車を開発する子会社の恒大自動車と、同社が買収したスウェーデンの自動車メーカーなども売りに出しているが、売却交渉のニュースは伝えられていない。23日までの利子の支払いに失敗すれば、信用格付け会社はデフォルトを宣言することになる。

 恒大の流動性危機は、中国の不動産景気が急激に低迷しつつあることで、さらに深まっている。今年9月には中国全域の70都市で6年ぶりに不動産価格が下落したことから、不動産景気の低迷が第3四半期の経済成長率の鈍化の原因の1つに挙げられてもいる。恒大の「破産間近説」が強まっているのもこのためだ。

 だが、恒大発の危機が取り返しのつかない水準にまで悪化することはない見通しだ。日本経済新聞は20日、恒大が人民元建て債の利子は支払っていることに言及し、「中国国内市場の混乱を避けるためとみられる」と指摘した。同紙はさらに、デフォルトになっても中国の債務整理手続き上、事業は継続できるとし、中国の金融機関を通して資金を融通しながら保有資産の売却交渉を続けるものとみられるとの予測を示した。劉鶴副首相も前日、北京で開かれた金融界の行事に送った書面による祝辞で、「不動産市場の健全な発展という状況には変わりがない。一部個別的な問題が現れているが、全体ではリスクは管理可能だ」と述べている。

北京/チョン・インファン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/1016101.html韓国語原文入力:2021-10-21 16:33
訳D.K

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