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[寄稿]「負債にもとづく成長」の限界露呈した中国恒大

登録:2021-09-27 04:33 修正:2021-09-27 08:06
Weconomy|キム・ヨンイクのグローバル経済
//ハンギョレ新聞社

 中国の不動産業者である恒大集団が破産の危機に直面している。これは一企業の問題であるにとどまらず、グローバル経済が直面する負債にもとづく成長の限界を意味する。

 各国の政策当局は財政や通貨政策を積極的に用いて、2008年のグローバル金融危機や2020年の新型コロナウイルス経済危機を克服してきた。しかし、この過程で各経済主体の負債が急増した。国際決済銀行によると、2007年に14兆5962億ドルだった世界の負債は、2020年には30兆4563億ドルと2倍以上に増加している。国内総生産(GDP)比でも同期間に274%から398%へと急増している。すべての国の負債が増えているが、特に中国の企業負債と米国の政府負債の増加は目立って速かった。

 2008年に米国で始まった金融危機は全世界に広がり、2009年には世界経済が停滞した一方で、中国経済は9.4%も成長した。その後も2019年までの中国経済の成長率は、年平均7.6%と非常に高かった。企業の投資増加が経済成長に大きく寄与した。しかし、成長過程で企業の負債は大幅に増加した。2008年にはGDP比で94%だった企業の負債比率は、2020年には161%へと高まった。金額で見れば、同期間に4兆3838億ドルから24兆8495億ドルへと急増している。2020年に中国の企業負債が世界の負債に占める割合は30%で、新興国の企業負債の71%にのぼる。

 米国は政府負債が大幅に増加している。米国は果敢な財政政策によって経済危機を克服してきている。2020年には4回に渡りGDPの17%に当たる3兆6000億ドルを支出し、今年3月にもさらに1兆9000億ドルにのぼる景気刺激策を実施した。これによりGDPに対する政府負債比率も、2007年の61%から2020年には131%にまで急増している。

 その他の国も負債によって成長している。韓国も2020年のGDPに対する企業負債比率は110%と、1997年の通貨危機の際の水準(107%)を超えており、家計負債はGDPの103%と急速に増加している。世界の負債がこのように急速かつ広範に増加する現象は史上初めてのことだ。

 歴史を見ると、負債の急増の次に来るのは金融危機や深刻な景気低迷だった。1970年から1989年にかけては、主に南米諸国で政府負債が増加し、これらの国々が危機に直面した。1990~2001年には東南アジア諸国で企業負債危機が発生し、この危機はロシアとトルコにまで拡散した。2002~2009年にも負債が急激に増加したことで、結局は米国を中心として世界経済が金融危機とともにマイナス成長に陥った。

 負債が生じるのは経済が成長する過程においては必然だ。その過程では負債が生産的資源に投資され、経済成長率は負債増加率より高くなる。しかし、経済成長が鈍化したり停滞したりすれば、負債問題があらわになる。決められた期間までに元金を返済しなければならないというのが負債の本質だ。これが恒大集団の問題であり、世界経済が克服しなければならない課題だ。ウォール街の「ドクター・ドゥーム」と呼ばれるニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授の「負債の罠とベアマーケット」の警告が現実となりうるということだ。

キム・ヨンイク|西江大学経済大学院兼任教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1012759.html韓国語原文入力:2021-09-26 17:48
訳D.K

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