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「パキスタンの原爆の父」カーン博士、新型コロナで死亡

登録:2021-10-10 20:27 修正:2021-10-11 07:50
新型コロナ症状悪化にともなう肺疾患で死亡、85歳 
パキスタンでは核開発の英雄…西側は核技術の密売者として非難 
イラン・リビア・北朝鮮への核技術提供疑惑で自宅軟禁
2009年8月28日、イスラマバードの自宅前で報道陣に手を振るパキスタンの「原爆の父」と呼ばれるアブドゥル・カディール・カーン博士/ロイター・聯合ニュース

 パキスタンの「原弾の父」であり北朝鮮に重要な核技術を伝授したといわれるアブドゥル・カディール・カーン博士が21日、新型コロナで入院中に亡くなった。享年85。

 カーン博士は今年8月から新型コロナに感染し治療を受けていたが、この日肺疾患が悪化し、イスラマバードのある病院で死亡したと、パキスタンの国営放送「PTV」が当局の発表を引用して報道した。

 カーン博士は、パキスタンが核爆弾を開発した最初のイスラム圏国家になるのに大きな役割を果たし、国民的英雄としてあがめられてきた。それと同時に北朝鮮など第3世界国家へ核を拡散させるのに決定的な役割をし、国際社会から痛烈な批判も受けた。

 パキスタンのアリフ・アルヴィ大統領はこの日、ツイッターで「カーン博士の他界を聞いて深い悲しみに沈んだ。彼は私たちが核抑止力を開発する上で大きな役割を果たし、これに感謝する祖国は彼の功労を忘れないだろう」と追悼した。パキスタンは、競争国であるインドが1970年代に核爆弾の開発に成功すると、これに対抗して核兵器開発に乗り出した。パキスタンは米国など国際社会の制裁にもかかわらず、1998年に公式に核実験に成功し、核兵器保有国を宣言した。

 しかしカーン博士は、イラン、リビア、北朝鮮などに核技術を不法に共有したという疑惑によって国際的な非難と制裁を受けてきた。彼は、自身がこれら3カ国の核拡散ネットワークに関与し、高濃縮ウラニウム(HEU)の製造に必要な遠心分離機と技術を売ったことを認めた2004年2月からは、イスラマバードの自宅で軟禁状態ですごした。

 パキスタンの裁判所は、2009年に彼の自宅軟禁を解除したが、カーン博士の動きは当局によって徹底的に監視されてきた。彼は2006年に前立腺がんにかかったが、手術で回復した。

 カーン博士が関与したパキスタンの核開発は、米国が黙認したという指摘も多い。米国は1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻後、アフガン戦争に介入するための基地としてパキスタンを利用するために、パキスタンの念願であった核開発を黙認したといわれている。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1014571.html韓国語原文入力:2021-10-10 16:40
訳J.S

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