米中対立が続くなか、中国が米国に協力し北朝鮮に核問題で圧力を加える可能性が小さくなっているとの見方が出ている。
香港のサウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)は21日、「米中対立は核問題をめぐる対話において北朝鮮の立場を強化する機会を提供する」というタイトルの記事で、多くの専門家の言葉を引用し、北朝鮮核問題解決のために中国が乗り出す可能性は次第に低くなっていると分析した。米政府で情報分析官として働いたレイチェル・ミニョン・リー氏は同紙に「米中の対立は北朝鮮にとってチャンス」だとし、「北朝鮮の立場からすれば、中国が非核化のため自国に圧力を加える動機が弱くなったため、北朝鮮が米国に向かってもう少し動ける空間を確保できるようになった」と指摘した。
米国のバイデン政権は、北朝鮮を対話のテーブルに引き出すための国際社会の制裁を中国が消極的に履行しているとし、中国の役割が重要だという立場を示している。アントニー・ブリンケン米国務長官は18日、韓米外交・国防長官会合(2プラス2)後に開かれた共同記者会見でも、「中国は北朝鮮が非核化するよう説得する上で非常に重要な役割を果たす」と強調した。
アラスカで開かれた米中高官級会談で、米国側は北朝鮮の核問題も主要な議題として提示した。しかし両国は、バイデン政権発足後初めて行われた閣僚級対面会談で、意見の相違を確認しただけで、明確な合意を引き出せなかった。同紙は「米国との対立のために、中国は自国の同盟(北朝鮮)を交渉のテーブルにつかせることをあまり快く思わないようだ」と指摘した。清華大学傘下のカーネギー・清華グローバル政策センターの趙通先任研究員は「もしバイデン政権が中国に好意を見せたなら、中国は北朝鮮問題に関する協力に向けてより積極的な態度を示せたはず」だとし、「しかし今のところ、米中関係が根本的に改善される余地が少ないため、北朝鮮核問題をめぐる協力の空間も小さいだろう」と述べた。