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資本流出、負債急増、原材料価格暴落…新型コロナ三重苦の発展途上国

登録:2020-04-21 01:39 修正:2020-04-21 07:17
ブラジルやメキシコなどで外国系資本が引き潮のように撤退 
負債急増も負担…アルゼンチンは返済猶予交渉が難航 
中国の原材料需要の増加は期待薄
ブラジルのジャイル・ボルソナーロ大統領が19日の「陸軍の日」を迎え、首都ブラジリアで支持者たちに向かって演説している。ブラジルなどの主な途上国の経済はいつになく大きな困難に直面している=ブラジリア/AP 聯合ニュース

 ブラジルなどの発展途上国は、コロナ禍により三重の経済的困難に直面している。外国資本が引き潮のように流出し、急増した政府負債がリスクを拡大させている上、主要輸出品目の原油などの原材料需要の見通しも改善されていない。コロナ禍が発展途上国に過去の経済危機とは比較にならないほどの打撃を与えるという暗い見通しが出ている。

 19日付の英経済紙『フィナンシャル・タイムズ』は、コロナ危機が始まった以降、発展途上国から流出した資金規模は、2008年の世界金融危機や2015年の中国株暴落の時よりもはるかに大きいと報じた。1月21日からの90日間で25の発展途上国から流出した外国系資本は、約1000億ドルに達した。2008年8月9日からの90日間では260億ドルほどが流出している。2015年6月26日からの90日間の資金流出規模は70億ドル程だった。今回は特にブラジルとメキシコからの資本流出規模が大きい。1月21日からの11週間でブラジルとメキシコの証券市場から流出した資金は、それぞれ130億ドル、75億ドル程だと同紙は伝えた。

 国際金融業界を代表する国際金融協会(IIF)も最近まとめた報告書で、「発展途上国からの資本流出は前例のない規模。25の主な発展途上国に対する今年の外国系による投資規模は、2019年(9370億ドル)の半分にも満たない4440億ドルに止まるだろう」との見通しを示した。それすらも中国への投資を除けば3040億ドルで、2004年以降で最低の値になると報告書は付け加えた。

 かつての経済危機より状況を暗くさせているもう一つの要素は、政府の負債だ。国際金融協会の資料によると、2019年末現在、主な30の途上国の負債総額は10年前に比べ43兆ドル増の71兆ドルだ。この数値は30カ国の国内総生産(GDP)の220%にのぼる。ブラジル政府の負債は10年間で国内総生産の65%から89%に増え、南アフリカ共和国は32%から64%に増加した。

 すでに外債危機の兆しも見える。アルゼンチンは16日、830億ドルの返済を3年間猶予し、利子を62%引き下げる案を国際債権団に提示したが、債権団の反応は思わしくない。フィナンシャル・タイムズは債権団関係者の言葉を引用し「アルゼンチンが、この案をそのまま受け入れるか、嫌ならそれでも構わない、といった態度に出るなら合意は難しいだろう」と伝えた。交渉が決裂し、アルゼンチンが一方的な債務不履行(デフォルト)を宣言することも排除できない状況だ。

 中国経済に以前ほどの勢いがないことも発展途上国の困難を大きくしている。2008年の金融危機では、中国がブラジルなどの主要途上国の原材料をほとんど買い占める勢いだったが、今年第1四半期は1976年以降で初のマイナス成長を記録するなど、自らの先行きも厳しい。このため、ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)が20日に一時21年ぶりの最安値となる15ドルを割り込むなど、産油国の減産合意後も原油価格の下落は続いている。

 投資銀行ソシエテ・ジェネラルの発展途上国戦略家フェニックス・ケイラン氏は「発展途上国の成長を主導する強力なターボエンジンはこれ以上存在せず、これは実に侮れない問題だ」と指摘した。

 一方、国際通貨基金(IMF)は14日発表した報告書『世界経済展望』で、主要39カ国を除く残りの国の今年の成長率はマイナス1.0%との見通しを示した。中でもブラジル(-5.3%)、メキシコ(-6.6%)、南アフリカ(-5.8%)、ロシア(-5.5%)の経済低迷が特に深刻だと予想している。

シン・ギソプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/941237.html韓国語原文入力:2020-04-20 17:31
訳D.K

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