米国の代表的な情報技術企業のアップルが「チャイナ・ショック」に見舞われた。アップルは、中国販売の不振傾向の中で、米中貿易戦争まで重なり昨年10~12月の実績展望値を大幅に下方修正した。15年ぶりに売上展望値を引き下げたというニュースに、株価が時間外取引で7.5%暴落し、時価総額が瞬時に550億ドル(約5.9兆円)も蒸発し「アップル危機説」が広がった。
ウォールストリートジャーナルは、アップルのティム・クック最高経営者が2日(現地時間)に投資家に送った書簡で、2019年第1四半期の売上展望値を既存の890億~930億ドルから840億ドルに引き下げたと報道した。当初の展望値より5~9%も減らしたことになる。
クック最高経営者は「主要新興市場でいくつかの挑戦は予想していたが、中国など中華圏経済の減速規模を予測できなかった。iPhone、Mac、iPadすべてにわたる売上減少の大部分は中華圏で発生した」と明らかにした。
iPhoneの年間販売台数は約2億台で、うち5000万台が売れる中国はアップルにとって最も重要な市場だ。アップルが苦戦している理由は複合的だ。まずアップル側の説明どおり、中国経済の成長鈍化が挙げられる。昨年3~4四半期の経済成長率は6.5%で、金融危機以後最も低かった。消費も15年ぶりに最低調な増加率を示した。
華為(ファーウェイ)・小米(シャオミ)・OPPO・VIVOなど中国ブランドの急成長も重要な要因だ。アップルは、価格メリットを前面に出す中国企業らに対抗して、高価格・高級戦略を駆使しているが、中国企業らの技術力とマーケティングが外国企業らを押し出している。iPhoneの中国スマートフォン市場占有率は2015年に12.5%で頂点を打ち、その後昨年第1~3四半期には7.8%に縮小した。サムスン電子の占有率はすでに1%未満だ。
そこへ貿易戦争で弱り目にたたり目になった。“反米”情緒の拡散で不買運動の話が出るほど中国の消費者が一層iPhoneを遠ざけている。中国最大のスマートフォン企業で世界最大の通信装備企業である華為の最高財務責任者(CFO)孟晩舟氏が先月1日、米国の要請によりカナダで逮捕されたことも状況を悪化させた。浙江省のある新素材企業は「アップル製品を買えば昇進を制限する」としたし、河南省のある観光地では華為のスマートフォンを見せれば入場料が無料になるキャンペーンを行った。“愛国主義”ムードの中で昨年9月に発売された新型iPhoneの販売も不十分だった。中国のiPhone組立工場をベトナムなどに移転するという説まで広がった。
その上、先月には福建省の地裁が、アップルが半導体企業クァルコムの特許を侵害したとしてiPhoneの旧機種の中国内での販売を禁止する命令を下した。アップルは、特許が問題になることを避けるためにソフトウェアをアップデートして販売を再開している。
アップルは昨年8月、米国の上場企業として最初に時価総額1兆ドルを突破して、10月には1兆1000億ドルまで達した。しかし、展望が不透明だという指摘で下がり続け、今回の“実績波紋”まで重なり時価総額が7500億ドルまで縮小した。専門家らは2019年のiPhone販売量は前年より10%程度減少すると展望している。
アップルの苦戦は、中国の消費市場の力を改めて悟らせる。ブルームバーグなど一部の米国メディアは、貿易戦争は米国企業にも大きな出血を要求しているとし、ドナルド・トランプ大統領に矛先を転じた。