19~20日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の3回目の訪中に向け、中国政府が他国首脳との日程を急いで変更した情況が確認された。中国が朝米首脳会談直後の北朝鮮の戦略的価値をどれだけ重視しているのかを示唆する内容だ。
金委員長と同じ時期に中国を国賓訪問したボリビアのエボ・モラレス大統領は、予定されていた日程を繰り上げ、19日午後に帰国の途についた。18日に中国に到着した彼は、当初2泊3日の日程を終えて20日に出発する予定だった。
モラレス大統領の早期帰国には、金委員長の訪中が影響を及ぼしたものと見られている。モラレス大統領が日程を繰り上げて中国を離れた19日午後、習近平国家主席と李克強首相などは、北京に到着した金委員長の歓迎晩餐会に参加した。モラレス大統領と行う予定だった夕食会が中止され、日程が短縮された可能性がある。中国官営メディアは、習主席とモラレス大統領の会談について報じたが、昼食会や晩餐会が行われたかについては報道しなかった。モラレス大統領側は「ボリビアの伝統的な休日を本国で過ごすため、早く帰国した」と説明した。
一方、習主席は金委員長と19日に会談と晩餐会を行った後、翌日の20日にも再度会って会談と昼食を共にした。北朝鮮の「労働新聞」は21日付で、両国首脳が20日釣魚台で開かれた昼食会前の単独会談で「新たな情勢のもと、両党、両国間の戦略・戦術的協同をさらに強化していくための問題を討議した」と報じた。
中国指導部が「国賓訪中」したモラレス大統領の日程を変え、金委員長と晩餐会を用意したのが事実ならば、金委員長の訪中が突然決定され、中国がさらに特別待遇をした可能性がある。
国賓のモラレス大統領とは異なり、金委員長の訪問には「公式」や「非公式」などの修飾語が付いていない。故金正日(キム・ジョンイル)総書記の第1~7回訪中や金正恩委員長の第1~2回目の訪中は、朝中共に「非公式訪問」としたが、今回は「訪問した」と発表された。
北朝鮮の最高指導者の訪中がこれまで「非公式」と呼ばれた背景には「党対党の関係」を主軸とする関係の特殊性と身辺の安全保護などが複合的に存在するものと分析される。中国外交部の耿爽報道官は19日の定例記者会見で、これに関する質問に「そのように発表したことには必ずそれだけの理由がある」と答えただけで、詳細な内容については明らかにしなかった。