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日本陸上自衛隊の疾走…軍国主義の亡霊が復活するか

登録:2018-04-05 23:23 修正:2018-04-06 08:21
イラク派遣陸上自衛隊文書、1年間上部報告せず 
組織的隠ぺい疑惑…「文民統制が機能していない」批判 
陸上自衛隊は最大の組織改編…軍国主義の過去に再照明
2005年12月3日、イラク南部のサマラに派遣された陸上自衛隊員が、基地を訪問した額賀福志郎・当時日本防衛相を護衛している=サマラ/ロイター聯合ニュース

 日本の陸上自衛隊が、海外派遣活動文書の存在を1年以上隠していた疑惑がふくらんだ。第2次大戦以前の日本軍の暴走に対する反省と共に強調してきた軍に対する文民統制の原則が揺らいでいるとの批判があふれている。

 小野寺五典防衛相は4日、陸上自衛隊が2004~2006年イラク平和維持軍(PKO)派遣当時の“日報”文書の存在を1年前の昨年3月に把握していながら、当時防衛相だった稲田朋美氏には報告していなかったと明らかにした。小野寺防衛相は、稲田元防衛相がないと答弁したイラク派遣自衛隊日報を自衛隊が3カ月前に発見したとし3日謝罪したが、翌日になって発見した時点が1年前まで遡った。

 自衛隊が組織的に隠ぺいしてきたという疑惑が広がり、野党議員は自衛隊の文民統制が機能していないのではないかと指摘した。小野寺防衛相は5日「きわめて遺憾だ。隠ぺいに該当するかまで調査して、国会に報告する」と述べた。

 今回の隠ぺい疑惑は、1年前の他の文書隠ぺい事件から始まった。野党は、2016年に南スーダンに派遣された陸上自衛隊が、戦闘にまきこまれる恐れがあるとし、自衛隊の活動と周辺状況を把握できる日報を公開するよう要求した。稲田元防衛相は「廃棄された」と答えた。ところが、廃棄されたはずの資料が昨年2月に実際は存在していることが明らかになった。野党はこの事件を契機にイラク派遣自衛隊日報の存在も尋ねた。稲田元防衛相はこれを探してみるよう指示したが、自衛隊は見つからなかったと答えた。それから1カ月も経たない昨年3月、陸上自衛隊はイラク派遣自衛隊の日報を見つけたが、稲田当時防衛相には報告していなかったことが今回明らかになった。陸上自衛隊研究本部は「南スーダン派遣自衛隊日報について調査した中で見つかったので、イラク日報には報告する必要を感じなかった」と釈明したが、南スーダンの日報問題が主に関心を集めた点を利用して、イラク日報は意識的に隠ぺいしたのではという疑いが深まっている。

昨年8月、日本の陸上自衛隊の戦車が、富士山麓の御殿場演習場で実弾演習をしている/AP聯合ニュース

 自衛隊の文民統制に対する憂慮が一層強いのは、陸上自衛隊が創立以後最大規模の組織改編で「戦闘中心組織」に変わっているためだ。陸上自衛隊は4日、総司令部格の陸上総隊の発足式を東京の朝霞基地で開いた。陸上自衛隊は1954年の創立以後、海上自衛隊や航空自衛隊とは異なり散在した部隊を統合指揮する組織がなく、5個の方面隊体制で運営してきた。このようになったのは、旧日本陸軍が満州事変~中日戦争~太平洋戦争へとつながる侵略戦争を主導して、軍国主義の総本山の役割をしたためだ。当時陸軍を中心にした日本軍は、内閣を操り、公然と官邸に踏み込み首相を殺害したり、暗殺を試みるなどの蛮行にふけった。

 だが、安倍晋三政権は、北朝鮮の脅威と中国の海洋進出への警戒を理由に、陸上自衛隊の長年のタブーを取り払った。陸上自衛隊は先月、2100人規模で海兵隊の役割を果す水陸機動団も創設した。軍事評論家の前田哲男氏は、東京新聞に「旧日本軍は日清戦争前に地方を守る“鎮台”組織を“師団”組織に改編し、参謀総長が一元的に指揮して外国で戦争しやすい形になった。その時を思い出させる」と話した。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/839290.html韓国語原文入力:2018-04-05 20:39
訳J.S

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