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[インタビュー]安倍政権「憲法9条改正」は日米で同床異夢

登録:2015-08-05 00:26 修正:2015-08-05 06:39
日本の「フォーラム平和・人権・環境」福山真劫・共同代表
日本の「フォーラム平和・人権・環境」の福山真劫・共同代表=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

 「現在、日本で行われている安全保障法制の改正過程には、米国と日本のさまざまな意図が作用しています。そのことを把握しないと、改正の真の意味を知ることができません」

 日本の革新陣営は安倍晋三首相が進める「集団的自衛権」の行使を骨子とした安保法制製・改正案をどのように受け止めているのか。日本最大の人権団体である「フォーラム平和・人権・環境」(平和フォーラム)の福山真劫・共同代表(72、写真)が強調したのは、日本の軍事的役割の強化をめぐる日米両国の“同床異夢”だった。

 福山代表は13日から14日までソウルで開かれる「2015東アジア平和国際会議」に参加し「日本の安全保障法制と朝鮮半島の平和体制」をテーマに発表する予定だ。この会議には、村山富市、鳩山由紀夫元首相やドナルド・グレッグ元駐韓米国大使、イ・ホング元首相などが参加する。

 福山代表は、まず安倍政権が進める安全保障法の制定・改正案を憲法9条の歴史の中で説明した。彼は「憲法9条は『日本が戦争を放棄し、戦力を持たない』のが主要な内容だ。しかし、憲法9条は、米国の軍事戦略によって事実上空洞化されてきた。だが、日本の歴代政権は『自衛隊が国外で武力行使をしたり、脅威をすること』だけはできないという最低限のラインは守ってきた。安倍政権は今、この最後の安全弁さえ除去しようとしている」と述べた。彼は「安倍政権は、自衛隊が海外で武力を行使できる道を開こうとしていので、私たちはこの法律を『戦争法案』と呼んでいる」と述べた。

 日本の革新を代表する最大の人権団体
 13〜14日にソウルで「東アジア平和会議」
 「日本の安全保障法制と朝鮮半島の平和」を発表

 「海外での自衛隊の武力行使の容認は戦争法案」
 米国は「中東戦争における負担の分配」戦略
 「日本、軍事大国化への思惑」軋轢の種

 さらに福山代表は、日米間の微妙なバランスを把握していないと、現在の状況を正しく理解できないと指摘した。「韓国もそうだが、日本も米国の軍事戦略の影響下にある。米国は、2000年代以降、アフガニスタン、イラクなどで戦争を繰り広げ、6000人余りが死亡し、5万人が負傷した。米国はそのような負担の一部を日本の自衛隊に肩代わりしてほしいと望んでいる」

 実際、安倍首相は4月末に行った米国議会演説を通じて、この法案を今年の夏までに通過させるとして、米国の要求を積極的に受け入れた。福山代表は「米国の意向を受け入れ、中東から東アジアまで米国の軍事戦略に基づいて自衛隊も(行動を)共にすると公約した」と述べた。

 また安倍政権は、米国のこのような要求を利用して、「日本を軍事大国として復活させようと意図を持っている」と彼は看破した。しかし、米国は、日本の軍事大国化には反対している。今後、日米の間に潜在的な対立の種が芽生えているわけだ。「安倍政権が、米国や韓中に対し、日本が軍事大国になるわけではないと言い続けている」理由もそのためだ。

 福山代表と朝鮮半島との縁は、1970〜80年代にさかのぼる。その頃から韓国の政治犯支援運動と南北韓の被爆者を支援する運動を続けてきた。彼は「日本の被爆者援護法は、他の法律とは異なり、国籍によって被害者を差別する国籍条項がない。なので、日本で被爆を受けたという事実が証明されれば、韓国でも北朝鮮でも国籍に関係なく、支援できる」と述べた。彼は戦争後帰国した被害者への支援のために、北朝鮮を10回ほど訪れた。

 そのためだろう。福山代表は、2013年5月、韓国政府が主催する5・18光州民主化運動記念式典に参加しようとして、入国を禁止されたこともある。彼は「在日韓国人・朝鮮人を支援するためには、民団や総連などと連携するのは当然だ。北朝鮮を頻繁に訪問したという理由で、国家情報院が私を韓国に望ましくない人物として烙印を押したようだ。だから韓国大使館側に正式に抗議しようとしたが、右翼団体に利用されるかもしれないと思ってやめた」と述べた。

 彼が夢見ているのは東アジアの平和だ。彼は「韓国もそうだが、日本にとっても中国は最も重要な交易国だ。中国との対立が続くと、日本の成長と発展が崩壊する」と述べた。「もちろん、中国にも(東・南シナ海などで進進める)危険な動きがあると思う。両国の首脳部とも自分の力を維持するために隣国の脅威を煽る側面がある」。彼はさらに、近いうちに公布される安倍談話については「日本は95年の村山談話を通じて、侵略と植民地支配に対する謝罪と反省を行った。その上、今の中国と韓国があって、成長してきた。このような基本的な認識が共有されない限り、何もならない」と述べた。

 しかし、日本の政治の将来については楽観的な予測を警戒した。現在20代の若者たちやベビーカーを押すママたち、10代の若者まで安保法制に反対して街に出たが、まだ楽観できる状況ではないという。彼は「まだ安倍政権が少し揺らいでいる程度だ。衆議院では連立与党が議席の3分の2を占めており、参院でも過半数を持っている。決心したら、法案を通過させることができる」と述べた。彼は続いて「野党や私たちのような反対勢力、そして日本の市民社会がどの程度(安倍政権に)対抗できるかによって、最終的な結論が出るだろう」と述べた。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-08-04 18:52

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/703099.html  訳H.J

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