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[ハンギョレ21 2011.01.21第845号]‘株式ターミネーター’自由総連盟の手腕

[焦点] 所有企業 韓電産業開発の上場で354億‘大当たり’放ち
保有持分価値も1千億ウォン増える(3494字)

□イ・ジョンフン
←韓国自由総連盟. ハンギョレ21 チョン・ヨンイル

韓国自由総連盟が韓電産業開発の上場により‘大当たり’を放った。
自由総連盟が持分51%を保有していた韓電産業開発は昨年12月16日に上場した。自由総連盟は上場と共に持分20%(旧株売却方式)を売った。2大株主として49%の持分を保有していた韓国電力も同じく20%の持分を売った。このように40%の株式を売った代金は総額717億2千万ウォンだ。この内、上場を主管した新韓金融投資に支払った引き受け斡旋手数料など費用8億9650万ウォンを除く708億2350万ウォンが自由総連盟と韓国電力の収益だ。結局、自由総連盟は上場利益で354億ウォン余りを手にしたわけだ。

企業が上場する時は大概 株式を新規発行し、その代金を会社成長の種子として活用する。例えば、昨年1月に上場したロックアンドロックは1千万株を新規発行(新株公募方式)した。一株当り公募価格は1万5700ウォンで、株式発行を通じて1570億ウォンの資金を輸血した。ロックアンドロックはこれを電算環境構築、自動化倉庫新築、未開拓市場および海外法人投資などに使う計画だと明らかにした。だが、韓電産業開発の場合は既存株式を売却する方式の取り引きがなされた。上場差益354億ウォン余りはそっくり自由総連盟のポケットに入ったわけだ。

‘公企業民営化’で取得した優秀企業

上場により会社の価値は一層大きくなった。持分を売る時、5500ウォンの公募価格で始まった韓電産業開発の株式は数回にわたり上限値を達しながら1月12日には一株当り1万6450ウォンを記録した。自由総連盟が保有する残り持分31%の価値もそれだけ大きくなった。持分価値が約1340億ウォンで、かつての330億ウォンから1千億ウォン以上増えた。

韓電産業開発は当初、1990年に韓国電力が100%出資して作った漢城総合産業に始まる。創社後、一貫して家庭や工場の電力量検針と電気料金請求書発行などを独占的に遂行しながら安定的収益構造を整えた。2006年には電力量検針および電気料金請求書送達事業に制限競争入札制度が導入され、傷痍軍警会・新ソウル産業などが新しく進入したが、韓電産業開発は依然として市場占有率で半分ほど(44~48%)を占め安定的売り上げを上げている。合わせて全国13ヶ所の石炭火力発電所を運営し、石炭火力発電所6ヶ所の設備整備も引き受けている。2009年の売上 2448億ウォン、純利益 61億ウォンを記録し、2010年にも2500億ウォン程度の売上が予想されている。

こういう‘優秀会社’を自由総連盟が取得したのは2003年だ。当時、政府の公企業民営化方針により韓国電力は韓電産業開発の持分51%を売却し、これを自由総連盟が665億ウォンで買いとった。当時、クォン・ジョンダル自由総連盟総裁は買収金額の1%(6億6千万ウォン)だけを自由総連盟が調達したとし、残りの資金は韓電産業開発が運営する石炭火力発電所でできる石炭灰(セメント代替材などとして使われるもの)を業者2ヶ所に安く売り渡す条件でこれら業者から210億ウォンを受け取り銀行から追加貸し出しする方式で充当した。結局、クォン前総裁は韓電産業開発を取得した後、約束どおり該当業者に石炭灰を安値で売り渡すことにより韓電産業開発に35億ウォンの損害を及ぼした疑惑(特定経済犯罪加重処罰法上の背任)で2008年に拘束起訴された。彼は韓電産業開発労組が民営化に反対すると、これを揉み消そうとして労組委員長に自由総連盟の公金2億ウォンを渡した疑惑(特定経済犯罪加重処罰法上の横領)も受けた。 クォン前総裁は2004年から2009年初めまで韓電産業開発の代表理事を兼任した。
クォン前総裁の辞任後、<国民日報>編集局長とニューライト全国連合常任議長特別補佐役などを務めたキム・ヨンハン氏が韓電産業開発代表理事を受け持っている。また理事には、李明博大統領の側近に分類されるパク・チャンダル自由総連盟総裁とイ・チュンホEBS理事長などが含まれている。パク総裁は李明博大統領と浦項中の4年後輩の間柄で、去る大統領選挙の時には遊説総括副団長を引き受けた。また、イ・チュンホ理事は李明博政府の初代女性部長官に内定したが、不動産投機疑惑がふくらみ落馬した経緯がある。

←韓電産業開発 上場後株価推移

毎年100億ウォン台 現金配当で資金源の役割

韓電産業開発は引受された後、自由総連盟の資金源の役割をきちんと果たしてきた。最も代表的なことは高い現金配当だ。2007年には純利益121億4900万ウォンの内 110億ウォンを、2008年には純利益133億4300万ウォンの内 118億ウォンを現金配当した。配当性向(純利益の内、配当として支給された金額の比率)が各々90.54%、88.44%と非常に高かった。特に2009年には‘本末転倒な’現金配当を行った。純利益が61億4100万ウォンで前年に比べ半分ほどに減ったが、現金配当は同水準の114億ウォンを行った。配当性向 185.65%で 最大株主のために企業の価値を傷つけているという論難が起きた。現金配当の51%は最大株主である自由総連盟の持分だ。

毎年100億ウォンを越える配当を受け取り、上場を通じて数百億ウォンを取り込んだ自由総連盟は、その他にも毎年政府と地方自治体から多額の支援を受けている。1954年にアジア民族反共連盟として始まった自由総連盟は、1964年から政府の支援を受けられる法的根拠を整えた。1964年に制定された‘韓国反共連盟法’により、1989年からは‘韓国自由総連盟育成に関する法律’が制定され、支援を受けている。現行法には‘国家と地方自治体は総連盟の育成のために必要な時には国有財産法または、地方財政法などの規定にかかわらず、国・共有財産および施設をその用途に支障を与えない範囲内で無償で貸付け、若しくは使用・受益できる’と規定されている。また‘国家と地方自治体は総連盟に対し、その組織と活動に必要な運営経費と施設費、その他経費を補助することができる’という規定により運営費なども支援されている。

また、自由総連盟は政府が推進する事業に積極的に参加し、数十億ウォンの事業費まで受け取っている。特にイ・ミョンバク政府になってから、こういう事業を自由総連盟をはじめとする政府系団体らが独占するようにして、他の市民団体らとの公平性論難まで産んでいる。例えば、昨年の主要20ヶ国(G20)首脳会議と関連して、自由総連盟本部は‘G20対応市民意識向上および国の品格向上’事業次元で10億ウォンを受け取り、自由総連盟ソウル支部は‘G20関連市民意識先進化キャンペーン’支援金2400万ウォンを受け取った。中央組織と下部組織が同じ名目の事業で二重に事業費を支援されたわけだ。

政府・地方自治体も支援‘特典’論難

過去政府でも税金浪費と特恵論争が起きたが、まともに手をつけられなかった。2005年、自由総連盟をはじめとするセマウル運動組織、正しい生活運動組織など、政府系団体3ヶ所に対する支援・育成法廃止案が当時、ヨルリンウリ党ホン・ミヨン、チョ・ソンレ議員と民主労働党イ・ヨンスン議員により推進された。これら議員たちは政府と地方自治体がこれら団体に毎年数百億ウォンの国民の税金を注ぎ込んでいるとし、廃止案を発議した。だが、各団体の反発の中でヨルリンウリ党内ですら きちんと議論されないままうやむやになった。

これに対し当時、廃止案を発議したある前議員は「自由総連盟が年間売上2千億ウォンを越える会社を持っており安定的収益を備えている以上、自由総連盟だけでも自立するようにし税金浪費を食い止めなければならない」とし「地方自治が施行され(市民)動員中心の行政から抜け出しただけに、これらに対する支援も他の市民団体と公平性を合わせて調整しなければならない」と話した。

イ・ジョンフン記者 ljh9242@hani.co.kr

原文: http://h21.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/28894.html 訳J.S