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「ジャンボリー」食堂運営費121億ウォンでカビ生えた卵…予定されていた破局(1)

登録:2023-08-14 01:46 修正:2023-08-14 09:01
[ハンギョレ21]ジャンボリー失敗、4つの争点
8月3日、全羅北道扶安郡のセマングム世界スカウトジャンボリー会場のデルタ区域で、あるスカウト隊員が扇風機で暑さをしのいでいる/聯合ニュース

 「愉快な宴」(ジャンボリー・Jamboree)という語源は色あせてしまった。参加者たちの祭りとなるべき2023セマングム世界スカウトジャンボリーは、陰ひとつないキャンプ場の蒸し暑さと劣悪な施設、虫の大群によって「嫌韓製造大会」だと皮肉られた。会場のあちこちで力なく倒れ込んでいるスカウト隊員の写真がSNSで出回ると、「国際的な恥さらし」だという非難世論が沸騰した。

 結局、開会6日目の8月6日には米国、英国、シンガポールの隊員たちが離脱し、ジャンボリーは事実上破綻した。ジャンボリー組織委員会による準備期間は、いくら短く見積もっても6年だ。政府と地方自治体はその長い時間、何をしていたのだろうか。ジャンボリーを破局へと追いやった最重要争点を探ってみた。

2017年8月17日、世界スカウト会議(世界スカウト機構総会)で2023世界ジャンボリー開催地が全羅北道セマングムに決定され、全羅北道議会のファン・ヒョン議長が同道のソン・ハジン知事(当時)を担ぎ上げて歓呼している=全羅北道提供//ハンギョレ新聞社

■埋め立てられていない土地に誘致…工事だけで4年浪費

 「うれしく、感激している。どんな言葉でも表現できないほどだ。開催を成功させるために、準備と基盤施設づくりという2つの軸を中心に大会を一つひとつ準備していく」

 2017年8月17日、全羅北道のセマングムが2023年世界ジャンボリーの開催地に決定した際、全羅北道のソン・ハジン知事(当時)はメディアとのインタビューでこのように語った。全羅北道は2012年から世界ジャンボリーの誘致に力を入れており、その末にポーランドのグダニスクを抑えて大会誘致を勝ち取った。メディアは「挑戦と情熱で成し遂げた逆転ドラマ」と全羅北道の勝利を称えた。

 当時、全羅北道が強みとして掲げたのは、セマングム平野の広さだった。ジャンボリーは4年に1度スカウト隊員が一堂に会してキャンプをする祭りだ。全羅北道は「250万坪の大規模な敷地を広いキャンプ場用地として提供できる。住宅街とも遠いため、苦情発生や環境破壊の批判が少ない」と強調した。干拓地なので陰がなく湿度が高いことが懸念されたにもかかわらず、全羅北道は「木を所々に植え、つる植物のトンネルを作って十分な陰を提供する」という計画を打ち出した。

 全羅北道が提示したバラ色の青写真は、実際とはまったく異なっていた。水はけが悪いため敷地のあちこちに水たまりができており、虫がわいた。全羅北道が約束した木は見当たらず、つるのトンネルは数が非常に不足していた。さらなる開発はしないと言っていた敷地は、実は干潟を埋め立てた土地だった。

 何が問題だったのだろうか。核心は土地だ。全羅北道がジャンボリー会場として提案した「セマングム観光・レジャー第1地区」は誘致当時、イベントができる状態ではなかった。単に海水の下にあった土地が表に現れた「露頭」に過ぎなかった。イベント会場やキャンプ場として使うためには、土地を新たに埋め立てて固めなければならなかった。

 埋め立ては時間のかかる工事だ。これはジャンボリー準備期間を浪費するのに決定的な役割を果たした。埋め立て計画の樹立や事業費についての協議などの様々な行政手続きで、用地埋め立てだけで約4年(2018~2022年)かかった。2020年1月に始まった埋め立て工事は2022年4月に完了した。ジャンボリーは1年4カ月後に迫っていた。上下水道などの基盤施設の工事やトイレ設置工事なども残っていた。日程に余裕がなく、ジャンボリー組織委は本番の1週間前まで工事を行っていた。

2023セマングム世界スカウトジャンボリーが開幕する1日、全羅北道扶安郡下西面の会場の一部に水たまりができている/聯合ニュース

■農地管理基金を得るため農地に

 セマングムにはすでに埋め立てられている農業用地と観光・レジャー用地がある。このような土地を活用するという選択肢もあったのに、どうしてわざわざ新たな土地を埋め立てたのだろうか。1991年に始まったセマングム干拓事業は、民間事業者の参加忌避で埋め立て完了率が12.1%(2018年現在)に過ぎないほど遅れている。全羅北道の立場からすれば、ジャンボリーを埋め立てていない土地で開催すれば、国の財源でわずかであろうとセマングム埋め立て事業を進められるわけだ。

 全北環境運動連合のイ・ジョンヒョン共同代表は「観光・レジャー第1地区はこれまで埋め立てたいという民間事業者が一つも現れなかった土地だ。ジャンボリー用地になれば何とか国が埋め立てを支援するだろうから、全羅北道が小細工を用いたのだ」と語る。全羅北道が2018年に発行した「世界スカウトジャンボリー誘致活動結果報告書」にも、似たような記述がある。「全羅北道がジャンボリーをセマングムに誘致したもう一つの理由は、セマングム開発の早急な推進が必要だったからだ。…全羅北道には国際空港の建設およびSOC構築などのセマングム内部の開発を急ぐ大義名分が必要だった」。ジャンボリーは停滞していたセマングム開発を早める役割を果たした。ジャンボリーを理由としてセマングムで東西道路と南北道路がつながれ、セマングム空港も予備妥当性調査が免除された。

 急造された土地は様々な面でジャンボリーに適していなかった。ジャンボリー支援団(組織委の前身)は、韓国農漁村公社の農地管理基金を埋め立て予算として借りるため、会場用地をレジャー用地ではなく農業用地にした。国家財源を借りることで埋め立て予算をまかなおうという便法だった。ところが、農地基準に合わせて平らにした土地からは雨水が抜けなかった。排水を円滑にするためには土を積み上げて丘を作らなければならないのに、農地規格に合わせたものだから田んぼが出来てしまったのだ。また、埋め立てられたばかりの土地は塩分が多すぎて木が植えられなかった。結局、次善策としてつるのトンネルを作ったものの、それさえもつるが伸び切っていなかったため、ところどころ日よけの幕を重ねていた。

 干拓地はそもそも陰がなく湿度が高いため、夏にキャンプ大会を開くのに適した場所ではない。2015年に日本の山口県の干拓地で開催されたジャンボリーでも、数多くの熱中症患者が発生している。ただ、その会場は干拓されて数十年たっていたため新たな埋め立て工事は必要なかった。すでに様々なイベントが行われてもいた。土地からして新たに作らなければならなかったセマングムジャンボリーとは状況が完全に異なっていた。(2に続く)

シン・ダウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1104152.html韓国語原文入力:2023-08-13 17:29
訳D.K

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