現代自動車グループが人型(ヒューマノイド)ロボット「アトラス」を生産現場に投入する計画を発表するや、労働組合が反対し、摩擦が生じている。産業界では、すでに韓国は製造現場のロボット密集率が世界で最も高く、今後広範囲に活用される余地が大きく、そのため関連論争もさらに広範囲に拡大しうるとの観測が出ている。
韓国の全国金属労組現代自動車支部は22日のニュースレターで、米国ジョージア州の現代自動車メタプラント・アメリカ(HMGMA)への生産量移管とロボット自動化新技術導入と関連して「労使合意のない一方通行は絶対に容認できない」とし、「合意なしにはただ一台のロボットも(生産)現場に入れることはできない」という強硬な立場を明らかにした。コスト削減と生産効率を追求する会社側との正面衝突を予告したわけだ。
労組側が強い警戒心を示しているロボット自動化は、アトラスという人型ロボットに代表される。現代自動車グループが買収した米国のロボティクス企業「ボストン・ダイナミクス」は、アトラスを今月初め「CES2026」で初めて公開した。現代自動車グループはアトラスを2028年から米国ジョージア州のHMGMAに投入し、2030年までに年間3万台のロボットを量産できるシステムを構築し、各種部品の組立工程に配置する計画を発表した。ボストン・ダイナミクスは、アトラスが大半の作業を一日以内に学習でき、最大50キログラムの物を2メートル以上持ち上げる作業まで多様な高強度労働を自律的に処理できると強調している。
問題はこのような人型ロボットの投入が労働者の雇用不安を引き起こし、不平等を広げかねないという点だ。民間公益団体「職場パワハラ119」が昨年10月、韓国の満19歳以上の会社員1000人を対象に実施したアンケート調査(グローバルリサーチ)によれば、会社員の2人に1人(48.2%)は「人工知能(AI)が自分の働き口を代替するだろう」と答えた。また、回答者10人のうち8人(77.9%)は、AIの拡散が労働市場の不平等と富の両極化を拡大させると見通した。AIを活用したフィジカルAIの活用が人間の労働を代替し始めるとの懸念がますます大きくなる様相だ。
アトラスの導入を契機に関連の論争が触発されたが、すでに韓国は産業現場でロボット活用率が世界的に最も高い方だ。国際ロボット連盟(IFR)の2024年資料によれば、労働者1万人あたりのロボット運用台数を意味する「ロボット密集度指数」は韓国が1012台で世界で最も高かった。シンガポール(770台)、中国(470台)、ドイツ(429台)、日本(419台)が後に続き、世界平均は162台だった。
実際、自動車だけでなく、造船や鉄鋼など高強度・高危険作業が多い産業現場でのロボット導入は急速に進んでいる。屋内工程で溶接労働者とロボットの協業を自動化する可能性を確認したハンファオーシャンは、2030年までに溶接工程を100%自動化するなど、漸進的に造船所の自動化率を現在の2倍まで引き上げる計画を持っている。ポスコグループも2023年にボストン・ダイナミクスから4足歩行ロボット「スポット」を導入し、製鉄所の溶鉱炉周辺など接近しにくい設備を診断・点検するのに活用している。造船業界の関係者は25日、ハンギョレに「現在の技術力を最大限活用すれば、人命事故が多く発生する危険工程の作業の相当部分をロボットで代替できる」とし、「だが労働組合の反発などの懸念で企業が慎重になっており、現代自動車のアトラス議論がどのように流れているかを注視する状況」と話した。
労使関係の専門家である中央大学のイ・ビョンフン名誉教授(社会学)は「アトラスとロボットの産業現場への導入問題は産業パラダイムを根こそぎ変える巨大な変化であるため、労使が対立せざるをえないが、模範的な交渉事例を作ることができる機会でもある」として「企業と労組は、意思疎通と協議を通じて働き口と労働条件に否定的な弊害を最小化できる方策を探さなければならない」と強調した。金属労組の関係者は「雇用と作業方式に変化が生じれば労組と議論するのが団体協約の趣旨」とし、「現代自動車支部の立場の重要な点は、アトラス導入に関して(労使が)協議しようということ」だと話した。