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AI発の雇用ショック…若者と女性にはいっそう脅威に

登録:2025-11-13 01:32 修正:2025-11-19 09:10
AIによる仕事の代替の様相
2023年7月、米国作家組合の組合員と俳優が、AI使用問題をめぐるストライキ中にニューヨークでデモをおこなった。映画やドラマなどの芸術分野でも、これまではアシスタント作家が担っていた主要業務が生成AIで代替され、若者の新規雇用の減少が現実化している/聯合ニュース・UPI

 米国で人工知能(AI)発の大量解雇が続出しており、雇用が代替されることに対する不安が現実のものとなっている。アマゾンが全体の10%にあたる約3万人の本社人員の削減を発表するなど、グローバルなテック企業で約10万人の削減が進められていることが報じられている。韓国もAI転換を試みた主要大企業で新規採用が減らされたり、完全になくなったりといった若者の雇用危機が現実のものとなっている。

 韓国銀行は先日、AIによる代替の危機にさらされている業種で若者の雇用が顕著に減少しているとする報告書を発表し、注目を集めた。李在明(イ・ジェミョン)大統領が国会での施政方針演説でAI高速道路の構築を強調しつつ、AI3大国を目指してアクセルを踏み込んでいる中、今後の雇用にどのような影響が及ぶかに関心が高まっている。

■現実のものとなった若者の雇用危機

 AI発の雇用ショックは若年層に集中する傾向にある。韓国で生成AIサービスが本格化した2022年から2025年までの3年間で、21万1千人分の若者の雇用が減少。その中の20万8千件がAIに代替される危機にある業種のものだった。一方、50代の雇用は20万9千件増加し、その70%にあたる14万6千件がAI代替危機業種だった。韓国銀行が国民年金の加入者数を分析して先月30日に発表した「AI拡散と青年雇用の萎縮」と題する報告書に記載されている分析結果だ。

 このような「年功偏向的な技術発展」は、米国などのAI利用が活発な国で類似している。スタンフォード大学のエリック・ブリニョルフソン教授のチームの研究によると、AIの脅威にさらされている産業では22~25歳の雇用が13%減少。特にソフトウェア開発者の若者層では20%近く減少していた。7月に発表された経済協力開発機構(OECD)の報告書、2025世界経済フォーラム報告書も、事務補助業務を担う若者や入門層で雇用への打撃が目立ち、年齢間格差が広がっていると分析している。

 このようにAIショックが若者層に集中しているのは、これまで職歴の浅い労働者が担ってきた定型化された知識業務であればあるほど、生成AIによって代替される可能性が高いからだ。すでに生成AIは文書整理、報告書の要約、eメールの作成、基本コーディング、顧客支援などの様々な階層で日常的な事務業務を自動化している。

 一方、経歴が長く熟練したシニアたちは、AIが業務を補完してくれるため生産性が高まり、雇用も安定してきている。脈絡の理解、対人関係、組織管理などの、AIによる代替の難しい、暗黙の知識によって複雑で不確実な状況に対処する能力が、AI時代に注目されているわけだ。

■専門職や芸術職種への広がり

 生成AIショックは単なる事務職にとどまらない。弁護士、ドラマ作家などの専門職にも広がっている。契約書のレビュー、書面の草案作成、法律のリサーチ、国際判例の検索など、経験の浅い弁護士が担ってきた業務が生成AIで自動化され、採用が大幅に減っている。英国のAI専門家のダニエル・サスキンドが著書『プロフェッショナルの未来』で述べたように、伝統的な専門家が処理していた複合業務は分解され、基礎的、反復的な作業、標準化作業はAIが代替し、人間の専門家は問題解決、創意的解釈、高難度戦略、倫理的事案に集中するというあり方が現実のものとなりつつあるわけだ。

 映画やドラマの作家などの芸術分野でも、若者の雇用減少が現実化している。これまではアシスタント作家に任されてきた草案の生成、基本的な対話とプロットの樹立などは生成AIが担い、経歴が豊富な作家たちはそれをもとに作業するという役割分担が広がりつつあるのだ。

■AIと人間が協力する政策設計

 一方、男性より女性の方がAIショックにぜい弱だという分析結果も目を引く。国際労働機関(ILO)の2025年の報告書によると、世界の雇用の25%が生成AIによる自動化に潜在的にさらされている。とりわけAIの影響が強い高所得国では、女性の雇用の9.6%が非常に危険な一方、男性は3.5%に過ぎなかった。単純事務職などの女性労働者が多い職種で自動化の可能性が高いため、失職リスクが男性の3倍にのぼるということだ。技術発展が年齢偏向的、性別偏向的に作用することでこのようなすう勢が拡大すると、経済活動への参加、社会的影響力などの様々な面で格差が広がる恐れがある。

 興味深いのは、AIにさらされている業種であっても補完や協力が可能なら、若者の雇用減少の幅が相対的に小さくなることだ。例えば保健業、教育サービス業、デザインなどの、協業と創意を補助する道具としてAIを用いる職場では、若者の雇用は減少していないことが明らかになった。

 また、経験の浅い未熟練労働者がAIを用いれば生産性が急上昇するということも、様々な国で共通して確認されている。すなわち、就職は難しいものの、ひとまず就職してしまえば、経験が浅いほどAIの補完効果が高いため、成長も速いということだ。

 AIによる若者や女性の雇用の代替は技術の必然的結果ではなく、自動化中心の設計を選択した結果だ。したがって、AIと人が協業し補完し合えるように政策の設計を変更することも、いくらでも可能だ。実際にドイツのシーメンスなどの一部の製造現場では、反復的生産、品質検査、設備点検はAIに担わせ、若者などの新規人材は設備の最適化、現場での問題解決などの関係中心的な業務にあたらせるよう業務を再設計し、若者の新規採用が増えている。

ハン・グィヨン|人とデジタル研究所所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/1228289.html韓国語原文入力:2025-11-10 07:00
訳D.K

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