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メモリーの「スーパーサイクル」に乗ったサムスン電子…「最大の受恵者に」

登録:2025-10-14 19:28 修正:2025-10-15 00:38
第3四半期の営業利益1.28兆円…3年ぶり最大の「アーニングサプライズ」
サムスン電子が第3四半期(7~9月)に市場の期待値を上回る12兆1千億ウォン(約1.28兆円)の営業利益を出したことが暫定集計された=サムスン電子提供//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子が今年第3四半期に市場の期待値を2兆ウォンほど上回る12兆ウォン台の営業利益を出し、「アーニングサプライズ」を実現したことが暫定集計された。高帯域幅メモリー(HBM)の出荷量の増加とDRAMなどのメモリー半導体のサイクル回復、フォルダブルフォンの新製品「ギャラクシーZ7」の発売効果などの影響と分析される。

 サムスン電子は14日、今年第3四半期の売上高が86兆ウォン(約9兆1千億円)、営業利益が12兆1千億ウォン(約1兆2800億円)を記録したと暫定実績を公示した。1年前の同期間よりそれぞれ8.72%、31.81%増えた規模だ。

 第3四半期におさめた売上高86兆ウォンは四半期において過去最大値であり、サムスン電子の売上高が80兆ウォンを超えたのも今回が初めてだ。営業利益も2022年第2四半期(14兆1千億ウォン)以来、3年ぶりに最も高い。直前四半期(第2四半期)の営業利益は4兆6761億ウォンで、3カ月で158.7%も増えた。

 金融情報会社のFnガイドがまとめたサムスン電子の営業利益の見通しは10兆1419億ウォンだった。これは1年前の同期間に比べて10.4%増えるという予想値だった。今回、サムスン電子が収めた第3四半期の営業利益は、市場の期待値を約19.3%も上回る規模だ。

 サムスン電子の実績改善には、5世代高帯域幅メモリー(HBM3E)の出荷量増加などデバイスソリューション(DS・半導体)部門の成長が最も大きな原因に挙げられる。昨年第3四半期にはHBM販売不振とDRAM価格の劣勢などで営業利益が4千億ウォン(約420億円)水準に止まったが、今年は汎用DRAMをはじめHBMの出荷量も増えたためだ。現在、サムスン電子は米国のAMDに製品を供給しており、HBMは人工知能(AI)半導体の主要部品として実績改善をけん引した主役だ。

 今後もメモリー半導体の好況は続くと予想される。グローバル投資銀行のモルガン・スタンレーは最近、「メモリーのスーパーサイクル(大好況)」と題する報告書を通じて「HBM市場に機会が到来し、AIサーバーとモバイル用DRAMの需要増加で汎用メモリー価格の変動も急速になっている」と述べた。

 証券界隈でもこのような好況のおかげでサムスン電子の本格的な反騰を予想している。興国証券のソン・インジュン研究員は「AI需要でサーバー投資の流れが強化されるなか、今後もDRAMなどメモリー全般の供給不足が続くだろう」とし「サムスン電子はメモリーのスーパーサイクルの最も大きな受恵者になりうる」と話した。

 スマートフォン事業を担当するMX部門も業績成長を後押しした。7月に発売したフォルダブルフォンの新製品「ギャラクシーZ」の「フォールド7」と「フリップ7」シリーズが加勢した。これらは、韓国国内の事前予約販売台数で104万台を記録し、歴代のギャラクシーフォルダブルフォンの中で最高記録となった。史上最薄のデザイン、AI機能を備え、グローバル販売量も好況を示した可能性が高い。

 また、ディスプレイ(SDC)部門も主要顧客であるアップルが発売したアイフォン17シリーズに納品する有機発光ダイオード(OLED)パネルの供給が増え、実績を牽引したと推定される。家電部門は米国発の関税イシュー、需要不振などで業況が良くないと予想されたが、半導体とモバイルなどがこれを相殺し、結果的に「アーニングサプライズ」となった。

 一方、暫定実績は韓国採択国際会計基準(K-IFRS)により推定した結果であり、まだ決算は終了していないが、投資家の便宜のために提供されたもの。サムスン電子の本実績は今月末に公開される。

クォン・ヒョジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1223176.html韓国語原文入力:2025-10-14 09:52
訳J.S

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