25日、ワシントンD.C.で開かれる韓米首脳会談で、「MASGA」(Make American Shipbuilding Grate Again・米国造船業を再び偉大に)プロジェクトの具体的な協力案が出るかに注目が集まっている中、米国側の構想の大枠を示す報告書が公開された。これについて、韓国造船業界は協力の規模がカギになるとみている。
MASGAに関する米国の構想は、「戦略国際問題研究所」(CSIS)が最近発表した報告書「米国と北東アジア同盟国の造船協力案」によくまとめられている。米国は1991年に旧ソ連が崩壊した後、国防予算を減らしたことで造船業の衰退がはじまり、最近、中国造船業の早い成長に脅威を感じている。報告書は「2024年4月、米国海軍長官が造船産業の基盤を検討した結果、海軍の主な造船計画は1~3年遅れているのに対し、全世界の商船と軍艦建造において中国のシェアは50%を超えている」と診断した。
報告書は、米国船舶の維持・保守・整備(MRO)の委託▽同盟国による米国造船所の買収▽米国と同盟国が分散して製造後に組み立て▽同盟国の造船所で建造された艦艇の購入の4つを協力案として提示した。
米国船舶のMRO業務を韓国に委託するという案は、すでに実行中だ。ハンファオーシャンは昨年の米海軍艦艇2隻(弾薬補給船、補給タンカー)に続き、今年まで計3隻の整備事業を受注した。HD現代重工業もMASGAプロジェクトが公開された後の今月初め、米海軍艦艇に対する整備事業を受注した。報告書は「同盟国にメンテナンス業務を任せることで、米国内の造船所が設備と工程を改善することに集中できる」と分析した。
ハンファグループが「フィリー造船所」を買収したように、同盟国の企業が米国の造船所を買収する案については、同盟国の技術移転と費用節減をメリットに挙げた。ただし、米国内の規制と労働文化が障害物になる可能性があると予想した。報告書は「造船業の労働者採用と維持が難しい理由は、相対的に低いレベルの賃金と福利厚生のためだが、造船労働者の賃金を上げると艦艇建造コストが増えることになる」とし、「複雑で独特な米海軍の標準・手続きも障壁になりうる」と指摘した。実際、ウィスコンシン所在の米国造船所を買収したイタリアのフィンカンティエリは、2020年に米軍護衛艦の建造を受注したにもかかわらず、米海軍の頻繁な設計変更要求などで、最近になってようやく建造に着手したという。
米国が同盟国と艦艇モジュールを分散して製作する「共同建造」方式については、「大きなモジュールを移動させる過程でさらに多くのコストが発生する可能性がある」という点が難点としてあがり、米海軍が同盟国の造船所で建造された艦艇を購入する案は「戦力の空白を最も早く補強できるが、保守的な米国の造船・海運業体系と呼応することが難しい」として可能性は低いと分析した。
結局、米国内の造船所買収とMROの委託遂行が実現可能性の高い協力案といえるが、韓国の造船企業は収益性などについて悩んでいる。造船業界関係者は「造船業は結局のところ海運業に伴うが、米国は海運業の規模がさほど大きくない」とし、「韓米関税交渉後に構成された国内の造船業界のMASGAタスクフォース(TF)もひとまず状況を注視している」と語った。他の造船業界関係者も「船舶の維持・補修は収益性が非常に低い方」だと話した。
産業研究院のイ・ウンチャン研究委員は「米国議会で今年初め『10年間にわたり商船250隻を増やす』という目標を提示したが、全世界の1年間の受注船舶数が2000~3000隻であることを考えると、規模は大きくない」とし、「米国政府組織でMASGAの協力を担当し責任を負う組織もまだ構成されておらず、両国が実際に協力に乗り出すまでには多くの時間がかかるだろう」と見通した。