韓国銀行(韓銀)が韓国の経済成長率見通しを約2カ月ぶりに再び下方修正することにした。12・3内乱事態にともなう実物景気への衝撃が当初の予想より大きいとの判断からだ。また基準金利の水準は現在の年3.00%を維持することを決めた。景気下振れリスクを減らすためには、政府が最大20兆ウォン規模(約2.1兆円、歳入更正分を除く)の追加補正予算を編成しなければならないとの勧告も出した。
韓銀は16日に発表した「経済状況評価」報告書で、「昨年第4四半期の経済心理の悪化などで経済成長が前回の見通しを相当に下回ったと判断される」として「今年も輸出増加傾向が前年より大きく鈍化し、政治不確実性の増大などにともなう心理悪化で消費と建設投資などは見通しに至らない傾向を示すだろう」と明らかにした。
韓銀は昨年11月、昨年と今年の成長率見通しそれぞれ2.2%、1.9%と提示したが、12・3内乱事態以後、実物経済への衝撃が予想より大きいと判断し見通しをさらに引き下げる方針だ。昨年第4四半期の成長率(前期比)は従来の見通し(0.5%)よりはるかに低い0.2%またはそれ以下に下落すると予想。昨年の年間成長率が2.0%以下に落ちる可能性もあるという話だ。
韓国銀行のイ・チャンヨン総裁は「1月初めまでのデータを見れば、内需と建設が予想以上に悪かった」として「第4四半期の成長率下落は基底効果を通じて今年の成長率にも影響を与える」と話した。韓銀は2月の定期金融通貨委員会に先立ち、早ければ来週にも修正した見通しを発表する計画だ。昨年8月と11月に続き、3回連続で成長率見通しを引き下げることになる。
それまでの韓国経済は昨年第1四半期に異例に高い1.3%の成長率を記録したが、第2四半期にはマイナス成長(-0.2%)したのに続き、第3四半期にも0.1%の回復にとどまり、成長傾向が弱まる状況のもとで内乱事態という直撃弾を受けた。韓銀は今年の経済見通しについて「(金利引き下げなどで)金融環境が緩和され、国内政治の不確実性が解消され、内需を中心に成長傾向が改善されると予想」としながらも、「米国の通商・産業政策の変化と周辺国の対応、韓国国内の政治状況と政府の景気浮揚策などと関連した不確実性が高い状況」と診断した。
物価も不安要因だ。今年の根源物価(季節要因や一時的衝撃の影響を除いた物価)は年間1.9%の安定した水準を維持するものと韓銀はみている。グローバル景気の鈍化で需要圧力が低い状態であり、政府の物価安定対策などで上昇圧力を相殺するだろうが、最近のウォン安と国際原油価格の上昇で不安要因が潜在しているというのが韓銀の診断だ。イ総裁は「非常戒厳以後、ドルに対するウォン安(70ウォン)のうち20ウォン以上が韓国国内政治の不安要因のため」とし「物価は目標水準(2.0%)以下にあるが、為替レートと原油価格に警戒感を持たなければならない段階」だと述べた。
また、成長率防御のために積極的な財政政策が必要だとし、今年15~20兆ウォン(1.6~2.1兆円)程度の補正予算編成を提案した。イ総裁は「今は経済成長率が潜在成長率(2%前後)以下に落ち(マイナス)『GDPギャップ』(実質成長率と潜在成長率間の格差)が大きくなる状況」とし「(金利引き下げなど)通貨政策にすべての負担を転嫁することは望ましくない。補正予算が必要だ」と述べた。実質成長率が予想より0.2ポイントほど下落する場合、これを補完するためには15~20兆ウォン規模の補正予算が必要だというのが韓銀の推算だ。
イ総裁は補正予算の時期について「できるだけ早いほうがいい」として「政府案が早く出てこずに議論しているだけなら、経済予測機関が成長率見通しを調整するのに反映されないため、心理に悪い影響を与える」と話した。
一方、韓銀の金融通貨委員会は同日、新年初の通貨政策方向会議を開き、基準金利を現在の水準である年3.00%に維持することを決めた。韓銀は基準金利の水準を昨年8月まで13回連続で最長期間凍結(年3.50%)したが、10月から通貨政策方向を緩和基調に転換し、10・11月に2回連続で下げている。