市場がサムスン電子の第4四半期の実績に向けた目線を急速に下げている。メモリー半導体業況悪化の打撃をサムスンが特に多く受けるだろうとの分析が反映された。高帯域幅メモリー(HBM)の独走体制を固めたSKハイニックスが相対的に「無風地帯」であることとは対照的だ。サムスンの競争力弱化をめぐる懸念も一層深まっている。
17日、各証券会社の資料を総合すると、今月に入ってサムスン電子の報告書を出した証券会社8社のうち7社が今年第4四半期(10~12月)の業績見通しを下方修正した。見通しの平均も大幅に下がった。先月に報告書を出した証券会社25社の第4四半期の営業利益見通し平均は9兆6990億ウォン(約1.04兆円)だったが、今月(1~17日)出した証券会社8社の平均は8兆7080億ウォン(約0.93兆円)に過ぎなかった。1カ月で10%下落した。
ライバル会社のSKハイニックスとは対照的だ。同期間、ハイニックスの第4四半期の営業利益見通しの平均は8兆830億ウォンから7兆7890億ウォンへと4%の下落に止まった。ハイニックスが第3四半期に立てた過去最高の営業利益記録(7兆300億ウォン)を第4四半期に更新するとの期待も変わらない。第3四半期(9兆1834億ウォン)に続き、第4四半期も営業利益が後退するという見通しが優勢になったサムスンとははっきりと温度差がある。
サムスン電子を巡る見通しが特に急速に暗くなった背景には、業況悪化に脆弱なメモリー半導体のポートフォリオがある。最近のスマートフォン、パソコン(PC)の需要不振と中国発の物量攻勢に直面したメモリー半導体は旧型製品を中心に価格が下落しているが、サムスンの場合、旧型への依存度が高い。技術競争力の不振で先端半導体市場から押し出されたためだ。人工知能(AI)チップに入るHBMはもちろん、高性能コンピュータ・サーバー用である第5世代DRAM(DDR5)競争でも大きく後れを取っているというのが業界の評価だ。サムスンが第4四半期には獲得すると公言したNVIDIAのHBMの物量も音沙汰がない。
そのため、サムスン電子の収益性は懸念される水準に達している。証券街は、第4四半期のサムスン電子の営業利益はハイニックスを1兆ウォンほど上回るにとどまるだろうと見込んでいる。売上はサムスンがハイニックスの4倍に達するにもかかわらず、利益では大きな差がないと見ているという話だ。この傾向が続けば、ハイニックスがサムスンを追い抜く可能性も排除できない。すでに一部の証券会社は、来年にはハイニックスが追い越すだろうと予想している。
結局、危機が一層長期化する局面に入ったという評価が出ている。半導体業況が本格的に悪化し、サムスンの技術競争力不振がさらに際立つようになったためだ。市場では危機を打開するサムスンのリーダーシップに対する関心が高まっている。サムスン電子は17~19日、来年の事業計画を点検するグローバル戦略会議を開く。ハン・ジョンヒ副会長とチョン・ヨンヒョン副会長が各々スマートフォン・家電と半導体部門会議を主管する中で、イ・ジェヨン会長は参加しない。