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【ニュース分析】韓国政府が誇る「世界20位の国家競争力」の真実

登録:2024-06-25 07:50 修正:2024-06-25 09:00
スイスの国際経営開発大学院が毎年発表 
67カ国中20位と過去最高を記録
クリップアートコリア提供//ハンギョレ新聞社

 「企業実績が好調で法人税を多く払えば、国家競争力が低下する」

 一見すると受け入れがたい表現だが、スイスの国際経営開発大学院(IMD)が毎年実施する国家競争力評価では「正しい」文章だ。IMDが最近発表した「2024年国家競争力評価」で韓国が全67カ国中20位の過去最高の順位を記録し、その評価の信頼性の論議が再浮上している。

 企画財政部はこれに先立ち、同機関の国家競争力評価に関する報道資料を配布し、「1997年に評価対象に加えられて以来、最高順位を記録」、「国民所得3万ドル・人口5000万以上である7カ国のなかでは米国に次いで2位になった」と自画自賛した。保守メディアを中心に「過去最高」記録などを前面に掲げ、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の経済成果として大きく報道した。国家競争力世界20位という指標は、どのように解釈すべきだろうか。

 24日のIMDの国際競争力評価によると、この評価は、経済成果▽政府効率性▽企業効率性▽インフラの4大分野と20部門を調査した後、336個の細部項目(統計的資料164個、アンケート調査92個、補助指標80個)を合算する方式で指標を構成する。

 今回の評価で韓国の順位を引き上げた分野は「企業効率性」と「インフラ」だった。「企業効率性」の順位は、企業の生産性が向上したという評価を受け、33位から23位に10階段上がった。「インフラ」の順位は16位から11位と5階段上昇し、「経済成果」と「政府効率性」はそれぞれ14位→16位、38位→39位に下落した。

 この評価の最大の弱点は、順位の算定に活用される256個の項目のうち36%(92個)が主観式アンケート調査に依存するという点だ。企画財政部も、今年の指標が大きく上昇した点について、「企業を対象とする質問の指標の順位が大幅に上昇した」と述べた。IMD側は少なくとも80社の企業から返事を得たというが、アンケート調査に応じる企業自体が一貫しておらず、時系列で比較するには限界がある。個々の企業家の主観的な印象評価で順位が大きく変動する可能性のある構造のためだ。

 統計的資料の解釈にも疑問がある。代表的な事例が、政府効率性の分野の「租税政策」項目だ。経営しやすい環境なのかどうかを最優先に評価するため、法人税率が低い場合だけではなく、法人税収が少ないほど肯定的な指標として判断する。今回の評価では2022年の指標が反映されたが、韓国企業の実績好調によって2022年の法人税収が前年より47%も急増したことが、否定的な評価要因として作用したという。実際、今回の評価で韓国は「政府効率性」の分野で前年より1段階落ちたが、法人税収の実績増加のために租税政策項目が下落(26位→34位)したことの影響が大きかったという。低い法人税率が国家競争力という単純な論理も問題だが、企業実績が好調で税金を多く払ったのに、国家競争力が逆に下がるという皮肉な事態まで起きているのだ。

 このため、IMD評価の国内協力会社である対外経済政策研究院も、順位自体より個別の指標の管理を参考にする方がいいと勧告する。対外経済政策研究院のユン・サンハ国際マクロチーム長は「『起業しやすい国』に順位をつけるものであり、GDP比の税収割合が大きくなっても順位に否定的な影響が出るように設計されている」として、「名目法人税率も低いほど評価は肯定的だが、租税政策は各国での社会経済的な合意の結果であるため、必ずしも低い税率だけが正解ではない点も考慮しなければならない」と述べた。実際、企画財政部は2016年にIMDの国家競争力評価の結果を発表した際には「評価方式によってはアンケート調査の割合が高く、質問した当時の社会・経済条件と雰囲気に調査結果が左右される傾向がある」として、指標を保守的に解釈してほしいと注文したことがある。

パク・スジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1146193.html韓国語原文入力:2024-06-24 19:47
訳M.S

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