サムスン電子が主要事業部門別の経営陣の参加する「グローバル戦略会議」を開き、下半期の危機克服のための対応策の準備に乗り出した。昨年15兆ウォン(約1.7兆円)に近い赤字を出した半導体事業をはじめ、モバイル・家電など主力事業でも苦戦し、複合危機に置かれたという評価が出ている中で開かれる会議だ。サムスン電子が今回の会議で突破口を開けるかに関心が集まっている。全方位的な危機の中で開かれる戦略会議だが、イ・ジェヨン会長は参加しない。
サムスン電子は18日、京畿道龍仁(ヨンイン)のソチョン人材開発院で「モバイル事業部」(MX)のグローバル戦略会議を開いた。この日の会議は、国内と国外の役員100人余りが参加した中で、デバイス経験(DX)部門長であるハン・ジョンヒ副会長の主宰で進められた。19日には生活家電(DA)事業部・映像ディスプレイ事業部(VD)、20日には全社部門、25日には半導体事業(DS)部門の順で会議が続く。
サムスン電子の関係者はこの日の会議と関連して「最近の市場動向を見て、まもなく公開するフォルダブルフォンとスマートリングなどをどのように販売するかなどを議論した」と話した。サムスン電子は7月10日(現地時間)、フランス・パリでアンパックイベントを開き、フォルダブルフォン「ギャラクシーZフォールド・フリップ6」とスマートリング「ギャラクシーリング」、ギャラクシーウォッチ7などを公開する。
特に最近、人工知能(AI)市場で「オンデバイス技術」(インターネットに接続しなくても機器の中でAI機能を使える技術)が話題であるだけに、スマートフォンAIの高度化戦略も議題に上がったと知られた。最近、独自のAIシステムである「アップルインテリジェンス」を披露したアップルが、9月にこのシステムを融合したiPhone16を発売する予定であるため、サムスン電子モバイル部門の緊張度が高い。
消費不振により需要が以前ほどではないうえに競争力も弱くなったと評価される家電事業を受け持つ生活家電・映像ディスプレイ事業部戦略会議も、AIの活用が中心議題に上がる。サムスン電子は「AI家電=サムスン」というフレームをマーケティングポイントにしてきた。19日の会議でもこのようなフレームをさらに拡散する戦略を集中的に議論する。
注目が集まる半導体事業(DS)部門の戦略会議は25日、華城(ファソン)事業場で開かれる。チョン・ヨンヒョン副会長がDS部門長になった後、初めて開かれる会議だ。サムスン電子は昨年、半導体事業で15兆ウォンに近い史上最大の赤字を出した。今年に入って実績は回復傾向を見せているが、AIチップに入る高帯域幅メモリー(HBM)市場でライバル会社であるSKハイニックスに主導権を奪われた状況だ。サムスン電子の株価は最近、NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営者(CEO)の技術検証に関する発言が出る度に乱高下している。サムスンは戦略会議で、AIメモリー市場での競争力拡大策や微細工程技術でのリーダーシップ回復、ファウンドリ(受託生産)市場拡大策などについて議論する予定だ。
イ・ジェヨン会長は今回の会議に出席しない。サムスン関係者は「グローバル戦略会議には毎年イ会長は参加していない」と話した。イ会長は最近、米国でメタ、アマゾン、クアルコムなど米ビックテックの最高経営者らと会った後、シリコンバレーで開かれたファウンドリフォーラムには出席せず帰国した。