本文に移動
全体  > 経済

医療界と政府の対立が長期化する中、新薬不発・臨床失敗…暗雲漂う韓国バイオ産業

登録:2024-05-23 06:11 修正:2024-05-23 07:43
最近期待を集めた新薬開発が相次いで座礁し、いわゆるKバイオ産業全般に暗雲が漂っている=ゲッティイメージ//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルス感染症の大流行以後、毎年最大の実績を書いてきた製薬・バイオ業界に暗雲が立ち込めている。韓国の新薬開発企業HLBが新たに開発した抗がん剤が、米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けられなかったことに続き、富光薬品の子会社が開発中のパーキンソン病治療剤は後期第2相の臨床試験で効能の立証に失敗した。医学部増員問題など医療界と政府の対立が長期化するにつれ、総合病院の運営が一部止まり、製薬会社の業績低下の懸念が高まる中、期待を集めた新薬の開発が相次いで座礁し、製薬・バイオ産業全般に対する投資が委縮する恐れがあるという憂慮の声があがっている。

 富光薬品は22日、子会社の「コンテラファーマ」が欧州などで行ったパーキンソン病の異常運動症治療剤(JM010)の後期第2相臨床試験で、1次評価変数の目標を満たすことができず、失敗したと発表した。新薬の承認を受けるためには第1相から第3相までの臨床試験を行わなければならないが、第2相は薬効の有効性を検討する前期第2相と、最適の用量や用法などを決める後期第2相に分かれる。コンテラファーマは異常運動症状のあるパーキンソン患者81人を対象に2つの用量について試験を行ったが、統計的に有意な結果を得られなかった。

 実際、新薬開発の過程で臨床試験を通過できないのは珍しいことではない。臨床成功率が極めて低いからだ。米国バイオ協会の資料によると、新薬候補物質が臨床第1相から新薬の許可承認を受ける確率は9.6%に過ぎない。しかし、今回の臨床の失敗がさらに注目を集めている理由は、HLBが新薬の承認を受けるのに失敗した影響が大きい。

 FDAは17日、新薬候補のHLBの抗がん物質「リボセラニブ(Rivoceranib)」と中国の江蘇恒瑞医薬の「カムレリズマブ(Camrelizumab)」の肝臓がん併用療法(2つ以上の治療剤を使用する療法)の品目許可申請に対する補完要請を行った。新薬の承認に事実上失敗したわけだ。これに先立ち、今年初めに4万~5万ウォン(約4500~5700円)台で下げ幅を続けていたHLBの株価は、新薬承認への期待感から3月26日に12万9千ウォン(約1万4800円)まで跳ね上がった。しかし、今回の新薬承認の不発により2日連続で下限価格を記録し、時価総額が6兆ウォン(約6800億円)ほど蒸発するなど、株価は年明けの水準まで落ち込んだ。

 このような流れの中で製薬・バイオ関連指数も相次いで下落傾向を示している。KRXヘルスケア指数は16日の3410.75から22日には3167.50に7.13%下がり、同期間中のコスダック製薬指数も各々12.8%下落した。ある製薬会社の関係者は「医療界と政府の対立で売上が減少するなど、ただでさえ厳しい状況なのに、今回のことで製薬・バイオ産業に対する投資誘致と未来の主力商品に向けた研究・開発(R&D)が萎縮するのではないかと懸念される」と語った。

キム・ギョンウク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1141610.html韓国語原文入力:2024-05-22 20:06
訳H.J

関連記事