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金価格が「超高値」異例の長期上昇…なぜ?

登録:2024-04-09 20:25 修正:2024-04-10 07:41
経済危機の懸念がない状況で 
危険資産の株式などと共に上昇 
「投機需要・政治要因のせい」
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 金価格が本当に「超高値」になるのか。

 株価・暗号資産など月給以外は全て上がる「エブリシングラリー」(everything rally)が続く中で、金価格が連日史上最高値を更新し、市場参加者も首をかしげている。代表的な安全資産である金価格が、経済危機の懸念がない状況で、危険資産である株式などと共に長期上昇するのは異例のことだ。「金価格ミステリー」という言葉まで出ている。

金先物(6月物)価格推移=資料:インベスティング・ドットコム//ハンギョレ新聞社

■ドル高・実質金利上昇の中、異例の金ラリー

 国際取引所によると、8日の金先物(6月物)価格は、取引中に1トロイオンス(約31.10グラム)当たり2370ドルを突破し、史上最高値を更新した。前日の金先物終値は2330.20ドルで、今年1月1日(終値基準2072.90ドル)に比べ、すでに12.4%急騰した状態だ。当分の間、金価格は上がり続ける側に賭ける投資家が多いという意味だ。

 最近の金価格の連続上昇は、従来の常識に反するものだ。金価格を1オンス(約28.35グラム)当たり35ドルに固定していたブレトン・ウッズ体制(中央銀行の貨幣発行量を金保有量によって制限)が崩れた1970年代以来、金価格は概して金利およびドル価値と反対に動いたためだ。利子と配当が付かない金は、金利が上がれば相対的に価値が低下し、ドル安傾向の場合にはドル表示の金価格は逆に上がるのが過去の経験だ。

 しかし、最近の事情は違う。新型コロナ以降、主要国が政策金利を大幅に引き上げ、実質金利(名目金利-物価上昇率)が跳ね上がり、ドルの価値が依然として高止まりしているにもかかわらず、金価格が前例のない上昇傾向を示しているためだ。高麗大学のキム・ジニル教授(経済学)は、「金はある時はこうだから上がり、ある時はああだから上がるというような辞書的知識が価格予測に役立たない場合が多い」とし、「ニュースを見るたびに判断がつかないのが事実」と話した。金に関する調査機関「ワールドゴールドカウンシル」(WGC)によると、金消費の「大手」である各国中央銀行の今年1~2月の金購入量は前年同期比43%も急減した状態だ。

■投機需要・政治的不確実性の拡大・金供給縮小の懸念のせい?

 市場では金価格が「超高値」になった隠れた秘密を3つ挙げている。まず、金価格が長期間上昇し、資産配分(分散投資)のための投資の魅力度が上がったうえ、最近は投機需要まで加勢しているということだ。英国フィナンシャルタイムズ(FT)は「最近、国債収益率(国債金利)とドルの動きが金ラリーを完全に正当化することはできないとみられる」として、2月末以後ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物未決済契約および買い越し契約件数が急増した点を指摘した。投機取引者が殺到し、金価格を引き上げているという話だ。

 ここにイランの報復可能性など中東戦争の拡大への憂慮、今年「スーパー選挙の年」到来などで地政学的リスクがますます高まることも、金需要を煽る原因に挙げられる。株式・コインなどリスク資産投資を目一杯増やしておきながら、逆説的にリスク回避のために安全資産を共に積み上げておこうとする心理が作用するという意味だ。

 供給網悪化の余波で金需給に支障をきたす恐れがあるとの懸念も、金価格にはむしろ好材料として作用している。政治的不確実性が大きいアジア、アフリカの鉱山などで金採掘が難しくなり、金の供給に制約が生じるということだ。ワールドゴールドカウンシルは先月出した報告書で「供給網危機と地政学的危険で金交易が萎縮し、昨年の金リサイクル(スクラップ)が減少した規模が30~70トン(今年1~2月の世界の中央銀行の金買い越し量は64トン)に達すると推算される」と指摘した。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1135800.html韓国語原文入力:2024-04-09 17:57
訳J.S

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