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韓国の財閥トップはなぜ「トッポッキ」を食べに行ったのか…その日の損益計算書(1)

登録:2023-12-14 06:34 修正:2023-12-14 07:48
イ・チャンミンの韓国経済における財閥の探求
尹錫悦大統領(中央)が6日、釜山中区のカントン市場で、サムスン電子のイ・ジェヨン会長(左から2番目)をはじめ、SK、暁星グループ、LGグループ、ハンファグループ、HD現代のトップらとトッポッキを試食している/聯合ニュース
専門家リポート:韓国経済における財閥の探求//ハンギョレ新聞社

 韓国の財閥支配構造の核心問題は、トップ(支配株主)が会社の利益ではなく、トップ個人の利益のための意思決定を頻繁に行うことにある。会社のお金を自分のために使うのに遠慮がない。これが資源配分の非効率性、生産性の低下、株価ディスカウントをもたらし、企業犯罪につながることもある。だから、財閥を批判してきたが、今回こそは財閥の側に立たなければならないかもしれない。

 釜山(プサン)万博誘致戦前後に見られた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権と財閥の行動は、韓国の政経癒着構造の堕落を示している。そして、その中心には政府の資源と民間の資源の見分けがつかず、自分の政治的目的のためなら何でも動員する大統領と参謀たちの私益追求と士農工商のマインドがある。このようなマインドは政権そのものがリスク要因だ。

 政経癒着というのは政治権力と財界の緊密な関係だが、これは基本的に「ギブアンドテイク(give and take)」だ。典型的な公式は財界が大統領選挙の過程で政治資金を提供(give)する代わりに、大統領当選後に大統領または最側近と会う機会(political access)を手に入れ、この機会を通じて望みの(政府事業の受注、規制の回避など)を得る(take)ことだ。有名な例が米国のバラク・オバマ政権時代、公正取引委員会との反独占イシューがあったグーグルだ。グーグルは相当な政治資金を支出し、最高経営陣のエリック・シュミット氏がホワイトハウスを11回、グーグルのロビイストが60回以上訪問した。

 21世紀に入って韓国内の政経癒着で記憶に残る事件としては、まず、いわゆる「トラック丸ごと供賄」がある。2002年の大統領選挙当時、野党のハンナラ党のイ・フェチャン候補陣営が現金の入ったトラックを丸ごと受け取る方式で財閥から数百億ウォン台の不法大統領選挙資金をもらった事件だ。2つ目は朴槿恵(パク・クネ)-チェ・スンシル国政壟断事件だが、大統領の側近である陰の実力者が誰なのかをまず探し出し、特定財団への資金提供と乗馬関連支援などの名目で、「トラック丸ごと」よりは洗練された形でお金を渡した。政経癒着の形もそれなりに進化したのだ。それでは釜山万博誘致戦では何を提供し、何を得たのかを見てみよう。

財閥は尹大統領に何を差し出したのか

 まず財閥は何を差し出したのか。尹大統領が外交と釜山万博を非常に重要視していたことは周知の事実だ。政権引き継ぎ委員会からそのような情報は財閥に流れたはずだ。特に、釜山万博は来年の総選挙用であることが明らかだった。政治経験といえば選挙しかない尹大統領にとって、釜山万博は個人的にもとても大切なチャンスだったのだろう。

 となると、一種の「差し出し(give)のポイント」が決まる。国政壟断の「差し出しポイント」がチェ・スンシルだったように。マスコミの報道によると、現政権に入って4大グループ(サムスン、SK、現代自動車、LG)のトップらが全員揃って尹大統領の外遊日程に同行したのが5回だ。スイス・アラブ首長国連邦、日本、米国、フランス・ベトナム訪問にお供し、先月英国・フランス訪問にもついて行った。11月21日の英国国賓晩餐会、11月22日韓英ビジネスフォーラム、11月23~24日フランス・パリ博覧会国際事務局(BIE)大使招請行事に出席したのだ。

 また、一年を超える釜山万博誘致活動期間中に、国内の主要12大グループが接触した国は計175カ国であり、各国の要人3千人以上に会い、開催した会議だけで約1600回に及ぶが、その半数以上に財閥のトップや代表取締役級が直接出席したという。この他に誘致活動対象国に韓国の企業が提示した「ニンジン」など、潜在的費用まで合わせると、規模はかなり大きいだろう。そして、内外的に厳しい経済環境の中で、経営に集中すべき財閥の資源がとんでもないところに使われた機会費用も考慮しなければならない。

(2)に続く

イ・チャンミン|漢陽大学教授(経営学)(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1120153.html韓国語原文入力:2023-12-13 17:42
訳H.J

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