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日本の官民ファンド、半導体材料世界1位のJSRを買収

登録:2023-06-27 19:53 修正:2023-06-28 06:52
フォトレジスト世界1位のJSR株式公開買い付け 
素材企業の競争力を維持するための投資
=資料写真//ハンギョレ新聞社

 日本政府が作ったファンドである産業革新投資機構(JIC)が、半導体製造における重要な素材のフォトレジスト(感光材)部門で世界シェア1位企業のJSRを買収すると発表した。技術競争力のある半導体素材分野への投資を強化し、半導体サプライチェーン全体に対する日本産業の競争力を高めようとしているとみられる。

 JICは26日、半導体素材のフォトレジストを生産する自国企業JSRの株式100%を公開買い付け(TOB)する方式で買収する予定だと明らかにした。23日の終値に35%を加算した1株当たり4350円で12月に公開買い付けを開始する。JSRも同日、記者会見を開き、JICが買収することに賛成すると明らかにした。JICは今回の買収に9039億円を投資する計画だ。

 JICはこの買収の目的について「半導体は世界各国が開発・製造に激しい競争をしている。半導体開発・製造の成否を分ける生命線になるのは半導体材料だ」として「(半導体材料大手の)JSRが短期的な業績に影響されず、大胆に中長期的な戦略投資をスピード感を持って円滑に実行できるようにする」と明らかにした。株式の公開買い付けの実施後にはJSRを非上場会社にする計画だ。

 JSRは半導体基板(シリコンウエハー)に回路の下絵を描くのに使われる物質のフォトレジスト部門で世界1位のメーカーだ。フォトレジストは日本政府が韓国最高裁(大法院)の強制動員賠償判決に対する報復措置として2019年7月に加えた輸出規制3大品目の一つ。韓国はこの措置以後「素材・部品・装備独立」を掲げ国産化のために努力したが、大きな困難を経験した。先端半導体の製造に欠かせない微細加工工程に使われるフォトレジストは、安定した生産が容易ではない。

 JICは、日本政府が産業革新を目標に作った官民ファンドで、資本の大部分は政府が出資している。この投資の方向性は日本の「産業戦略」と密接に結びついている。日本政府の率いるファンドが、世界市場1位の実績を誇るフォトレジスト生産企業を買収しようとするのは、半導体産業内で世界的な競争を維持する目的のためだ。現在は独歩的な技術力があっても、積極的な投資がなされなければすぐに遅れを取ることになりかねない。

 実際、世界1位の半導体ファウンドリ(委託生産)企業である台湾TSMCが1月に発表した年間設備投資額は3600億ドル。日本経済新聞は匿名を要請した半導体素材企業の幹部の話を引用して「想像を超えた投資規模の拡大についていけない」と明かしたと伝えた。匿名の経済産業省の幹部も今回の決定について「JICの投資はあくまでも個別判断で、政府が絵を描いたものではない」としながらも「(この買収が日本産業の)競争力強化に重要な案件」だと強調した。

チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1097664.html韓国語原文入力:2023-06-27 13:38
訳J.S

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