世界1位のメモリー半導体企業のサムスン電子が減産に入ったことで、今年下半期から業況が改善できるかに注目が集まっている。供給が減っても、グローバル景気が回復するなど半導体の需要が回復しなければ、業況の低迷が長引く可能性もある。
サムスン電子は7日、半導体の「人為的な減産」を公式発表した。今年第1四半期の半導体部門で大幅な赤字が出たことを受け、「設備の再配置など生産ライン最適化と微細工程の転換などを通じた『技術的減産』に加え、供給先が確保された製品を中心に意味ある水準までメモリーの生産量を下方修正している」と明らかにした。
サムスン電子が1998年以後25年ぶりに減産を決めた背景には、急速な在庫増加がある。市場シェアでライバル社を引き離すため、「減産しない」方針を貫いてきたが、グローバル需要の低迷により半導体の在庫が雪だるま式に増えたこと受け、戦略の修正を余儀なくされた。事業報告書によると、昨年第4四半期基準でサムスン電子の半導体(DS)部門の在庫資産は29兆576億ウォン(約2兆9千億円)規模だ。これは前年同期(16兆4551億ウォン)より76.6%増加したものだ。
韓国開発研究院(KDI)は9日、半導体産業景気が2001年の「ドットコム・バブル」崩壊や2008年のグローバル金融危機の時と同じ水準まで悪化したと分析した。KDIは「4月経済動向」で「半導体景気が2022年3月にピークを迎えた後、同年下半期から急速に下落し、過去の経済危機の最低点と似た水準まで下がったのが、最近の景気不振の主な要因となっている」と説明した。2月の国内の半導体生産は昨年同月に比べて41.8%減り、2001年7月(対前年同月比-42.3%)、2008年12月(-47.2%)と減少幅がほぼ同じだった。
業界では、最悪の局面で出たサムスン電子の減産決定が業況回復の契機になるという期待感が広がっている。直ちに第2四半期から効果が現れるV字型の回復よりは、下半期以降徐々に良くなるU字型回復の可能性が高いとみられている。韓国半導体産業協会のアン・ギヒョン専務は本紙との電話インタビューで、「減産を実行してから3カ月後に効果が期待できる。市場2、3位のSKハイニックスとマイクロンが昨年減産を発表した後、今年から効果が出始めた。1位のサムスン電子まで減産に加われば、下半期から減産効果が現れるだろう」と話した。台湾の市場調査会社「トレンドフォース」の調査の結果、昨年第4四半期のDRAMの世界市場で、サムスン電子とSKハイニックス、マイクロンはそれぞれ45.1%、27.7%、23.0%のシェアを占め、市場を寡占している。
カギは半導体需要回復の時期と幅だ。減産で供給が減っても需要が回復しなければ、業況の改善時点も遅くならざるを得ないためだ。特に、韓国の半導体輸出のうち40%(2022年基準)を占めた中国市場の需要が回復するかどうかがカギを握るものとみられる。産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は「市場が劇的に変わるためには需要市場が変わらなければならない」とし、「情報通信技術分野のセット製品の生産が増えてこそ半導体の需要が増えるが、そうでない状況で生産を減らしただけでは半導体市場が劇的に変わることはないだろう」と診断した。
国内の半導体産業の歴史を見ると、2005年以降大きく5回(2008年、2010年、2014年、2018年、2022年)の業況の下降局面があった。ほとんどがDRAM価格の下落によるもので、半導体景気の萎縮期が最も長かった時期は2014~2016年(32カ月)だった。持ち直しの局面では、半導体供給の縮小と共にグローバル景気の回復、中国のスマートフォン補助金支給など需要の拡大が業況上昇の契機となった。