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韓国の景気も「ハードランディング」の警告灯が灯った

登録:2022-09-23 10:49 修正:2022-09-23 11:27
FRB、物価高を抑えるために「ジャイアントステップ」敢行 
対外依存度の高い韓国も衝撃は避けられない
韓国銀行のイ・チャンヨン総裁が22日、ソウル中区の銀行会館で開かれた非常マクロ経済金融会議に出席している=韓銀提供//ハンギョレ新聞社

 「耐え抜きます(Keep at it)」

 米連邦準備制度(FRB)のジェローム・パウエル議長は21日(現地時間)、「ジャイアントステップ」(政策金利0.75ポイント引き上げ)決定直後の記者会見でこのように述べた。市場がこの発言に注目したのは、1980年代初めに景気低迷を覚悟で基準金利を年20%まで引き上げたポール・ボルカー元FRB議長の自叙伝のタイトル『Keeping at it』(日本語題『ボルカー回顧録 健全な金融、良き政府を求めて』)と同じだったからだ。物価を抑えるためには高い失業率など「経済ハードランディング」(急激な停滞)も辞さないというパウエル議長の意志が、この一言に明確に込められているという意味だ。対外依存度の高い韓国も足元に火がついた。

 FRBのこのような強硬対応基調は、この日公開したFRBの経済修正見通しにもそのまま込められた。まず米国の今年の実質経済成長率予測値(以下、第4四半期基準で対前年比)が従来の1.7%から0.2%へと1.5%ポイントも下方修正された。来年以降も1%台の成長率が続くものとの見通しだ。現在年3.00~3.25%である基準金利が来年4%後半まで急騰するという見通しが反映された。

 パウエル議長はこの日、「現在の状況が景気低迷につながるかどうかは誰も断定できないが、かなりの期間、トレンドを下回る成長が持続する可能性は非常に高い状態」だと述べた。ブルームバーグは「市場参加者アンケート調査と長期・短期の金利差(10年物~2年物)で計算した今後12カ月以内の米国の景気低迷の確率は50%以上」と評した。

 パウエル議長は「苦痛のない方法を探したいが、そのような道はない」とし、経済ソフトランディング(緩やかな下落)については「非常に挑戦的な」課題だとも述べた。市場金利の急騰で成長の勢いが衰え、失業者が増える景気低迷に入る可能性が高いと認めたわけだ。

 問題は、韓国も例外ではないという点だ。韓国銀行は8月の修正経済見通しで、今年の成長率予測値を2.6%と提示したが、この時考慮した米国の今年の成長率予測値は1.7%だった。米国の成長率が大幅に下方修正されたため、今年の韓国の経済成長率もさらに下がる公算が大きくなった。チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官は、22日午前に開かれた非常マクロ経済金融会議で「企画財政部・韓国銀行など経済チームは『広く、長い視界』を堅持し、現状況に対応する」とし「短期の変動性管理だけでなく、来年以降の流れも念頭に置いて最適の政策の組み合わせを模索する」と述べた。コロナ禍後の回復傾向をみせていた景気が鈍化し、長期にわたって低成長の局面に入る可能性があると示唆したのだ。

 韓国経済は内外で悪材料と向き合っている。米国との基準金利の格差が広がり、為替レート急落などにより、現在年2.50%の基準金利も大幅な引き上げが避けられない状況だ。市場金利が上がれば消費・投資など内需が直撃弾を受ける恐れがある。特に、今年第2四半期末基準で1869兆ウォン(約190兆円)まで増えた家計債務(家計信用基準)は、基準金利が0.5ポイント上がるたびに年間の利子負担が約6兆6千億ウォン(約6800億円)ずつ増えるため、消費が冷え込む見通しだ。

 米国・欧州連合(EU)など主要国の競争的な金利引き上げとこれにともなう景気低迷の懸念で、輸出も悪影響を受けている。今月1~20日、貿易赤字がすでに41億ドルに達し、対外健全性を左右する経常収支も今後は月間で赤字を出す可能性が高くなった。国際機関などは、韓国の今年以降の成長率の鈍化を既成事実とみている。最近、経済協力開発機構(OECD)は来年の韓国の成長率予測値を2.2%とし、従来の予測値に比べ0.3ポイント下方修正した。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1059791.html韓国語原文入力:2022-09-23 02:43
訳C.M

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