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韓日水産物紛争の逆転勝利の主役「国際法秩序研究のために独立を選んだ」

登録:2022-07-08 04:39 修正:2022-07-08 06:34

チョン・ハヌル弁護士、5月に産業資源部を退任 
1カ月後、「国際法秩序研究所」を設立 
「米国一極体制が変わりつつあり 
国際法秩序の研究をやりやすい時」
先月、国際法秩序研究所を設立したチョン・ハヌル弁護士=チョン・ハヌル弁護士提供//ハンギョレ新聞社

 韓国と日本の間での水産物紛争で逆転勝利を導いた実務の主役であるチョン・ハヌル弁護士(42)が、国際法を研究する独立組織を設立し、新たな一歩を踏みだした。チョン弁護士は、産業通常資源部の通商紛争対応課長を退いた1カ月後の先月、国際法秩序研究所を設立した。

 チョン弁護士は5日、本紙の電話インタビューで「国際法の研究と出版業を兼ねることを考え、法人(有限責任会社)形式をとった。通商法を中心に国際法一般に対する勉強と研究を行うことが目的」だと明らかにした。研究所は、ソウル江南区狎鴎亭洞(カンナムグ・アプクジョンドン)の共有オフィスに設け、現時点では1人研究所の体制とのことだ。

 「国際法秩序の研究は、私にとっては古い話題のようなものだった。米国中心の一極体制は変わりつつある。それによって法秩序も影響を受けている。米国中心の秩序が強固な時から勉強したかったテーマだった。それが変わり動いている今こそ、研究しやすい時だと考えた」

 韓国政府が、福島からの水産物輸入禁止措置をめぐり、世界貿易機関(WTO)の紛争第二審(最終審)で勝訴した2019年4月当時、チョン弁護士は科学者、弁護士、公務員ら22人からなる対応チームのチーム長だった。韓国は、2018年2月に下された一審(パネル審)では敗訴したため、二審の結果は予想外と思われた。福島水産物事件のようなSPS(衛生および植物衛生措置に関する協定)紛争で被訴国が勝った前例はなかった。当時、紛争は、日本の提訴により大きくなった。

 韓国は、WHOでの紛争勝訴によって、今も福島からの水産物の輸入を禁止している。二審で敗訴していた場合、日本側がWHOの手続きによって対応措置が可能な状況に直面し、輸入禁止措置が解除された可能性が高い。

 チョン弁護士は、ニューヨーク州立大学(哲学、法・政治哲学)とイリノイ大学ロースクールを卒業した米国の弁護士で、通商法の専門家と評されている。海軍「清海部隊」法務参謀や合同参謀本部の国際法担当(海軍法務将校)も経験した。法務法人「世宗」に勤務していた際、国際通商紛争対応のための産業通商資源部の特別採用公募に応じ、2018年4月に通商紛争対応課長に選ばれた。日本との水産物紛争の勝訴翌年の2020年、4級書記官から3級副理事官に超高速で昇進した。全省庁での開放型職位における初の昇進事例だったという点で、注目を集めた。

 チョン弁護士は、水産物紛争勝訴の直後の2019年4月、本紙のインタビューで「早くから国際法に関心があり、通商問題に興味を持ち、ロースクール時代から自分で多く勉強した」と明らかにしたことがある。

 チョン弁護士は、「1回任期を延長し、今年5月に公職を退いた後、私には分不相応なオファー(地位の提案)をしてくださった方々がおられたが、ふたたび(特定の)組織に入ると数年間縛られ、これ以上遅れたら機会を失うと思ったので、独立を選択した」と述べた。4年間ほど公職生活を過ごし、「紛争(事件の担当)を残すことのないようにして、ほとんどはうまく解決された」とも述べた。

 これまでに韓国が当事者となったWHO紛争は40件で、そのうち11件がチョン弁護士の任期中に処理されたという。米国による洗濯機のセーフガード(緊急輸入制限)、韓国産鉄鋼・変圧器に対する高率の反ダンピング関税を課した米国の「不利な知り得た事実(AFA)」制度、日本産空気圧バルブに対する韓国の反ダンピング関税賦課関連の紛争がその例だ。政府の公式の立場によると、この3件を含む6件で勝訴した。紛争期間中に中断されたり勝敗を明確に分けるのが難しいケースもあるが、敗訴の結論が出た事例はないという。

キム・ヨンベ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1050111.html韓国語原文入力::2022-07-08 02:34
訳M.S

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