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米国の大幅利上げ、韓米金利逆転が目前…韓銀も「ビッグステップ」に追い込まれるか

登録:2022-06-17 02:34 修正:2022-06-17 09:12
FRB「ジャイアントステップ」の衝撃 

FRBが来月0.5ポイント上げれば 
米国の政策金利、韓国上回る 
投資資本の流出やウォン安の懸念 

韓銀、通貨政策会議で 
4回中1回は「ビッグステップ」の可能性 
「為替レートと債券市場を見て判断」 

さらに大きな問題は低成長トンネル 
FRB、今年の米国の成長率を1.7%に下方修正 
韓国の成長率も2%を割るか
16日、非常マクロ経済金融会議がソウル中区の銀行連合会で行われ、チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官、イ・チャンヨン韓銀総裁、キム・ソヨン金融委員会副委員長、イ・ボクヒョン金融監督院長、チェ・サンモク大統領秘書室経済首席秘書官が出席した=韓銀提供//ハンギョレ新聞社

 米国連邦準備制度理事会(FRB)が15日(現地時間)に政策金利の誘導目標を0.75ポイント引き上げたことを受け、韓国(1.75%)と米国(1.50~1.75%)の政策金利の差は0.00~0.25ポイントへと大幅に縮まった。市場では、韓国銀行も7月にビッグステップ(0.5ポイント引き上げ)を踏むだろうという観測が流れている。

 FRBは今後も複数回にわたってジャイアントステップ(0.75ポイント引き上げ)またはビッグステップを踏む見通しだ。韓国の政策金利に変化がないと仮定すれば、目前に迫る来月に米国がビッグステップを断行するだけでも、米国の政策金利は韓国より0.25~0.50ポイント高い状態となる。「金利逆転」が現実となれば、投資資金の流出やウォン安などが物価上昇をさらに煽る恐れがある。

 市場では、韓銀の金融通貨委員会が年末までに残り4回(7、8、10、11月)の通貨政策方向決定会議で、毎回政策金利を引き上げるとの観測が強まっている。もし0.25ポイントの引き上げが4回行われれば、年末の韓国の政策金利は2.75%になる。これは連邦公開市場委員会(FOMC)の委員たちの予想する年末の米国の政策金利(3.4%)より大幅に低い。韓銀も結局、1度はビッグステップを踏むのではないかとの観測が流れている理由はここにある。

 ビッグステップの可能性について韓銀は、非常に慎重な立場をとっている。韓銀のイ・チャンヨン総裁はこの日の非常マクロ経済金融会議の直後、ビッグステップの可能性を問われ、「米国の政策金利は年末までに3.4%になると予想されるが、利上げのスピードが韓国より速いのは事実」と答えつつも、「金利の差そのものに重点を置くというより、このような状況で為替レートや債券市場にどのような影響があるのかを総合的に判断するつもり」だと付け加えた。物価指標の急上昇の継続により、今月中に追加の緊急通貨政策の方向性を決定するための臨時金融通貨委員会を行う可能性については、「まだ考えていない」と述べた。

 韓銀は、現在の韓国経済の基礎体力(ファンダメンタル)からみて、韓米の政策金利の逆転のみで急激な資本流出が起こる可能性は低いと考えている。韓銀のパク・チョンソク副総裁補は9日の記者懇談会で「資本の流出入は外国との金利の差の影響も受けるが、何よりも対外健全性やファンダメンタルの影響の方が大きい」とし、「消費の回復傾向と経常収支の黒字基調が続いていることなどを考慮すれば、急激な資本流出の可能性が大きいとは思わない」と語った。

 FRBによる急激な利上げに伴う米国の景気後退も、韓国経済にとって大きな負担となる。FRBがこの日発表した2022~2024年の米国の年間実質経済成長率の修正予想値は、世界を驚かせた。FRBは、今年の米国経済の実質国内総生産(GDP)の年間成長率(FOMCの出席者18人が提示した予想値の平均)を、2.8%(3月の予測)からわずか3カ月で1.7%へと大幅に引き下げた。来年の成長率も大幅下落の1.7%にとどまり、2024年は1.9%へと修正した。失業率(第4四半期)も今年は3.7%を記録し、来年は3.9%、2024年は4.1%に達すると予想。FRBが成長(雇用)を犠牲にしてでも当面の課題である「物価との戦い」に専念する通貨政策を展開することを決めたことで、少なくとも今後3年間は1%台の成長と4%に迫る高失業率が持続する中短期低成長体制に突入することになったわけだ。

 韓銀は5月の修正経済見通しで、今年の韓国のGDP成長率を3.0%から2.7%へと引き下げているが、この修正に用いた今年の米国の経済成長率の前提値は2.9%だった。韓国製品の巨大輸出市場である米国の予想成長率が前提値より1.2ポイントも低下したことから、米国経済の収縮によって韓国の輸出指標が大幅に下がる可能性が高まった。これに急激な物価高騰まで重なったことで、今年の韓国の経済成長率は2%台を守ることも難しく、1%台にまで下降する公算が大きくなっている。コロナ禍以降、しばらく続いていた回復が、インフレの衝撃と通貨緊縮の恐怖に襲われたことで突然途切れ、韓国経済も今後数年間は1%台の低成長体制となる恐れが高まった。

 新政権の経済チームはこの日、ソウル中区(チュング)の銀行連合会で、チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官、韓銀のイ・チャンヨン総裁、金融委員会のキム・ソヨン副委員長、イ・ボクヒョン金融監督院長、大統領秘書室のチェ・サンモク経済首席秘書官が出席する中、非常マクロ経済金融会議を開催した。チュ副首相は「現在の経済状況は複合的な危機を迎えており、かなりのあいだ困難が続くだろう」と述べた。

チョ・ゲワン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1047349.html韓国語原文入力:2022-06-16 18:48
訳D.K

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