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韓国の17.2%の世帯が収入をほぼ「借金返済」に充て赤字

登録:2022-05-09 03:00 修正:2022-05-09 08:40
昨年の「赤字」世帯354万 
所得で債務返済と必須支出まかなえず 
金利と物価の上昇で赤字世帯さらに増加か
クリップアートコリア//ハンギョレ新聞社

 韓国の全世帯の17.2%の家計が赤字であることが分かった。これは、354万世帯が所得を全て使っても借金返済と必要不可欠な支出をまかなうことが難しいということを意味する。ますます高くなる負債の金利と物価のせいで、赤字世帯数はさらに増える恐れがある。

 8日に韓国金融研究院が発表した『家計財務状態が赤字である世帯の特徴と改善の方向性』と題する報告書によると、昨年の韓国の総世帯数2052万世帯の17.2%(354万世帯)の家計が赤字だと集計された。赤字とは、所得を必要不可欠な消費、非消費支出(税金や年金など)、債務の元利金返済に充てればマイナスになる状態をいう。

 354万の赤字世帯の平均年間所得は4600万ウォン(約472万円)。しかし、これらの世帯の年間平均元利金(元金+利子)返済額は4500万ウォン(約462万円)で、年間所得の98%に達していた。借金が赤字の最大の原因になっているわけだ。報告書は「金融負債の規模が所得に比べ大きすぎることが、家計の赤字に影響を及ぼしている」と述べている。実際に、金融負債が所得の5倍を超える世帯も赤字世帯の19.3%(68万世帯)を占めた。黒字世帯ではそのような世帯の割合が3.6%に過ぎないのとは対照的だ。

 一部の赤字世帯が、足りない生活費を賃貸住宅の保証金で充当している可能性も提起された。354万の赤字世帯のうち18.6%(66万世帯)には、住宅を貸すことで受け取った保証金があった。これらの世帯が保証金を生活費として使っているとすると、賃料の下落時には賃借人に保証金を返すことが難しくなり、社会的問題となりうる。報告書は「赤字でありながら住宅を貸している世帯が、次の賃借人から保証金を受け取ることで以前の賃借人の保証金を返しているのなら、以前の賃借人の保証金は全て賃貸人の赤字の穴埋めに充当された可能性がある」、「賃料の下落時に、転出する借家人に対する保証金の返済が円滑でなくなることで、経済的衝撃へとつながる恐れがある」と懸念を示した。

 だが、さらに大きな問題は、今後赤字世帯が今よりはるかに増える可能性があるという点だ。昨年8月から韓国銀行が利上げを数度にわたって実施していることで、融資金利も上がり続けている。韓銀によると、政策金利が0.25ポイント上がるたびに、家計全体の年間の利子負担だけでも3兆3000億ウォン(約億3380円)ずつ増加する。債務者1人当たりだと年間の利子負担は平均16万4000ウォン(約1万6800円)増える。市場の投資専門家たちは、昨年から0.25ポイントずつ4回にわたり政策金利を引き上げた韓銀が、年内にさらに2~3回利上げを行うと見ている。昨年1800兆ウォン(約185兆円)にまで膨れ上がった家計負債の元利金返済額が、さらに急激に拡大する恐れがあるというわけだ。加えて、消費者物価上昇率が4%台後半にまで上昇していることも、家計をさらに圧迫している。

 報告書は「今後も物価上昇および金利上昇の方向へと経済状況が展開された場合、必要不可欠な消費支出および利子返済額の増加により、黒字世帯の家計財務状態も弱まる恐れがある」とし、「黒字であるかどうかにかかわらず、家計の自助努力が必要だ」と強調した。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1041952.html韓国語原文入力:2022-05-08 14:54
訳D.K

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