コスダック(KOSDAQ)上場企業「オステムインプラント」で、1人の社員が1900億ウォン近い会社の資金を横領する事件が発生し、警察が捜査に乗り出した。
オステムインプラントは3日、自社の資金管理を担当する社員L氏を業務上横領で告訴したと公示した。横領推定額は1880億ウォン(約181億円)で、同社の自己資本(2047億ウォン、約197億円)の91.8%にのぼる規模だ。証券業界などでは、上場企業で発生した横領事件としては過去最高額と試算している。オステムインプラントは先月31日に事件を認知し、ソウル江西(カンソ)警察署にその社員に対する告訴状を提出したと明らかにした。同社の関係者は「資金管理を担当する社員が残額証明書偽造などの方法で会社の資金を個人口座に振り込んだ」と述べた。
韓国取引所は3日、オステムインプラントに上場適格性実質審査事由が発生したとして、株取引を停止させた。取引所は、自己資本の5%を超える横領金額が発生した場合、取引を停止したうえで上場廃止の実質審査対象とするかどうかを決める。審査を経て「取引再開」、「上場廃止」、「改善期間付与」のいずれかの措置が取られる。
証券業界では、横領の疑われる社員は昨年コスダック上場企業「東進セミケム」の株を大量に売買し、評価損を被ったとみられる京畿道坡州市(パジュシ)の「スーパー蟻(株式市場において資産規模の大きな個人投資家を指す)」と同一人物ではないか、との噂が広がっている。同社員と個人投資家の生年月日が一致するとの噂から、東進セミケムの株価はこの日、8.4%下落した。
金融監督院の電子公示によると、この個人投資家のL氏は昨年10月、総額1430億円(約138億円)にのぼる東進セミケムの株392万株(持株比率7.62%)を1株当たり3万6492ウォン(約3520円)で購入した。L氏はその後、11~12月に337万7000株あまりを1株平均3万4000ウォン(約3280円)ほどで売り、損失を出したと推定される。L氏が保有する東進セミケムの株は、持株比率にして1.07%(55万株)残っている。取引所の関係者は「横領事件と資金の流れ、関係者が同一人物かどうかは警察の調査で明らかになるだろう」と述べた。ソウル江西警察署は、行方をくらました社員のL氏に対して出国禁止措置を取ったうえで、所在を確認中だ。