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「中国恒大事態」短期的な解決は困難だが「2008年のリーマンショックとは異なる

登録:2021-09-27 04:29 修正:2021-09-27 07:31
「負債は単純、政府の迅速な介入が可能」国内外で分析 
中国政府の支援方法と統制能力が解決のカギ
/聯合ニュース

 中国の恒大集団(エバーグランデ・グループ)事態は、2008年の米リーマン・ブラザーズの破産とは異なるという分析が提起されている。当時のような最悪のグローバル金融危機にはならないとの見通しだ。ただし、事態の短期間での解決は難しく、中国の景気の減速などの一部のショックは避けられないだろうという予想も出ている。

 360兆ウォン(約33兆7000億円)にのぼる恒大集団の負債は、13年前に世界を金融危機に陥れた米国の投資銀行リーマン・ブラザーズの破産を思い起こさせる。しかし、恒大集団はリーマン・ブラザーズと比べ、相対的に負債整理は単純であり、政府による迅速な介入が可能だという分析が出ている。サムスン証券は24日、「恒大集団は不動産開発会社としては負債規模が大きいが、貸借対照表が単純で、取引相手も限定的だ」とし、「リーマン・ブラザーズはグローバル金融ネットワークの主な一員で、貸借対照表は複雑なデリバティブ商品で埋め尽くされていた」と述べている。ナイス信用評価社も23日に「不動産開発会社の負債整理は、2008年の米証券会社の資産と負債の整理よりも単純だ」と説明している。

 特に、恒大集団の借入金規模は、銀行融資市場での割合が0.35%に過ぎず、債務のかなりの部分は不動産などの担保がある。よって各銀行の直接的な損失の規模は大きくないとも評価されている。

 このような単純な負債関係は、中国政府の迅速な介入を可能にしている。中国は、米国よりも政府の市場掌握力も比較的大きい。「ウォール・ストリート・ジャーナル」は23日、「中国は銀行やその他の主要関係者に対する統制力が強いため、ウォール街のアナリストたちはリーマン・ブラザーズのような最悪の事態は避けられるとみている」と伝えた。

 したがって、恒大集団事態の解決のカギは中国政府にあるとみられる。中国政府は、今回の危機が実体経済や金融危機へと波及するのを可能な限り食い止める可能性が高い。その代わり、恒大集団を無条件に支援して生かすことはないとみられる。中国政府はここのところ「共同富裕」を強調しつつ、不動産市場の過熱と企業のモラルハザードに対する強い規制の意志を示しているからだ。恒大集団を見せしめとして、直接的な支援ではなく構造調整支援の方へと政策の舵を切る可能性がある。ウォール・ストリート・ジャーナルは「中国当局は、恒大集団が秩序ある業務管理が行えない場合は、最後の瞬間にのみ介入する準備をするよう地方政府に要求している」とし「こうしたアプローチは、経済的または社会的影響に備えつつも、負債に苦しむ不動産開発業者の救済を渋っているというシグナル」との解釈を示した。

 中国政府が恒大集団の構造調整に集中するとなれば、事態の解決には時間がかからざるを得ない。また、政策当局が影響を最小限に食い止めるとしても、不動産市場と建設部門の受けるショックなどによって、中国の景気の鈍化は避けられないとみられる。サムスン証券は「恒大集団危機による金融市場の不安は短期間で解消されることはないが、システム危機にも発展しないだろう」とし、「否定的影響は主に不動産投資および取引の萎縮に限定されると考える」と述べた。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1012749.html韓国語原文入力:2021-09-26 16:28
訳D.K

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