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エコな電気自動車から出てくる「反エコ」な使用済みバッテリー、どう処理するべきか

登録:2021-07-10 07:33 修正:2021-07-10 07:54
LGエネルギーソリューション忠清北道梧倉工場の全景=LGエネルギーソリューション提供//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が今月8日に打ち出したバッテリー産業支援策(「K-バッテリー発展戦略」)には、「使用済み二次電池」の活用策も盛り込まれていた。電気自動車の廃車時に発生する使用済み電池の地方自治体への返却義務が今年廃止され、民間でリユースし、産業化できるよう制度を整備するという内容だ。環境部は8月までに全国4地域に拠点回収センターを構築し、二次電池の運送や保管に関する基準も設ける予定だ。

 環境部によると、自治体管理下の臨時施設に保管されている使用済みバッテリーは5月末現在535本にのぼる。電気自動車の普及が加速し、使用済みバッテリーの量もそれに伴って増え、今年末に1000本、来年末に3000本、2025年に3万2000本、2030年には8万本に達する見通しだ。

 環境にやさしいとされる電気自動車と違い、使用済みバッテリーはリユース・リサイクルできなければ、悩みの種に転落する恐れがある。電気自動車に使われる電気を作り出す過程にも化石燃料が使われるという点と共に、電気自動車の潜在的な反エコな属性だ。

 使用済み二次電池の活用法は大きく二つに分けられる。修理・修繕と再組立で、太陽光発電施設または電気車充電所のエネルギー貯蔵装置(ESS)や電気自転車バッテリーなどにリユースするのが今のところ最善策だ。破砕や粉砕、抽出工程を通じてコバルトやニッケルなど金属を回収してリサイクルする方法もある。バッテリーモジュールをセル単位に分割し、キャンプ用パワーバンク(携帯用エネルギー貯蔵装置)にする事業が、規制特例を通じて一部の事業化段階に入っただけで、本格的なリユースは初期試験段階にとどまっており、多くの課題を抱えている。

 使用済みバッテリーをエネルギー貯蔵装置に蘇らせ、環境への配慮と経済性を同時に取ろうとする研究開発の代表例は、LGエネルギーソリューションだ。電気自動車バッテリー市場で世界1位を占めている同社は今年2月、忠清北道梧倉(オチャン)工場にESSを設置し、テストを進めている。電気自動車の急速充電用エネルギー貯蔵装置で、10万キロメートル走った電気タクシーから取り外して作られたものだという。電気自動車は通常、5~10年間で15万~20万キロ走行した後にはバッテリー交換が必要だと業界ではみている。走行距離が減少し、充電速度が低下するため、使用効率が下がる。

 使用済み電気自動車のバッテリーをESSにリユースすれば、電気自動車の生産コストを大幅に下げる効果を上げられる。電気自動車でバッテリーが占める原価の割合は30~40%にのぼるほど大きい。使用済みバッテリーをリユースして作った充電用ESSを、電気料金が相対的に安い夜間に保存した後、昼間に使用でき、充電事業者の収益性向上にも役立つ。電気自動車から出るゴミを減らすだけでなく、さらなる好循環構造になるわけだ。

 リユースの事業化は簡単な課題ではない。制度的な整備が必要な部分もまだ多く、技術的な難点もある。LGエネルギーソリューション側は「使用済みバッテリーを複数台つなげ、ESSでリユースする場合、バッテリー間の“退化度”の違いのため、バッテリー性能と安定性に欠ける問題がある」と説明した。

 政府が電気自動車普及のために補助金を支給し始めたのがちょうど10年前の2011年だった。電気自動車のバッテリーの寿命が10年であることを考えると、使用済みバッテリーが多くなる時点に至ったわけだ。電気自動車に使われる電気を何で作るかだけでなく、使い終わった電池をどのように再活用するかも「電気自動車=エコ」という等式を実現させる上で大きな課題だ。

キム・ヨンベ産業チーム先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1002950.html韓国語原文入力:2021-07-1002:30
訳H.J

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