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米国に続き韓国銀行も…金利0.5%p引き下げは金融危機以来初めて

登録:2020-03-17 06:54 修正:2020-03-17 08:39
[史上初の0%台金利] 
米連邦準備制度理事会のゼロ水準の利下げに 
韓国銀行「積極的対応の余地が生じた」 
景気刺激効果を考慮し、“ビッグカット”に踏み切る 
 
ウォン安ドル高進む中 
金利0.75%で“実弾”が消尽 
一部では「金利追加引き下げの圧迫は大きい」との声も 
グラフィック=コ・ユンギョル//ハンギョレ新聞社

 韓国銀行(韓銀)が16日、臨時金融通貨委員会を開き、基準金利を史上初めて0%台に引き下げたのは、それだけ国内外の状況が深刻だと認識したためだ。韓銀が基準金利を0.25%ポイントではなく0.5%ポイント引き下げたのは、金融危機の真只中だった2009年2月以来11年ぶりのことだ。

 韓銀の“ビックカット”は、米連邦準備制度理事会(FRB)が15日(現地時間)、定例通貨政策会議を待たずに政策金利を1%ポイント引き下げたのが決定的なきっかけとなった。FRBが連邦基金金利をゼロ水準(0.00~0.25%)まで引き下げたことで、1.25%だった韓国の基準金利引き下げの余力がさらに大きくなったためだ。イ・ジュヨル韓銀総裁は金融通貨委後の記者会見で「米国が短期間に1.5%引き下げたことで、韓国も積極的に対応できる余地ができた」と述べた。FRBは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が終息し、経済活動が正常化するまでゼロ金利の維持を示唆した。

 今月12日、世界保健機関(WHO)の「パンデミック(世界的大流行)」宣言以降、国内金融市場の急落も韓銀の決断を促したものと見られる。外国資金が大量に流出している株式市場に比べ相対的に安定を保ってきた債券市場でも、異常気流が現れたからだ。13日、外国人による大規模な先物売りが相次ぎ、国庫債の金利が急騰した。この日も国内金融市場はグローバルドル流動性の収縮で、総合株価指数(KOSPI)が急落し、ドルに対するウォン相場は4年ぶりに最高値を記録した。イ総裁は「機関投資家らの短期外貨資金需要が増加し、韓国の(対外支払いリスク水準を示す)クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の加算金利が上昇するなど、ドルの借り入れ環境が悪化している」とし、「国内銀行の外貨資金事情にはまだ大きな問題はないが、綿密にモニタリングする」と述べた。また、国債金利が基準金利を一定水準以上上回る場合、国債を買い入れる考えも示した。

 17日に国会で成立すると予想される追加補正予算案と政策の組み合わせによる景気浮揚効果を極大化するためにも、“ビッグカット”が必要だという声が高まっていた。各国の中央銀行の相次ぐ金融緩和政策に促されて金利を引き下げる状況で、0.25%ポイントだけ引き下げた場合、かえって市場に失望を与えかねないためだ。

 COVID-19で景気下降が予想されることから、追加の金利引下げが避けられないという見方もある。ソシエテ・ジェネラル(SG)のエコノミスト、オ・ソクテ氏は「2月のマクロ指標が出る今月末になれば、さらなる利下げ圧力が強まるだろう」と見通した。しかし、韓銀の金融緩和環境は容易ではない。まず、急激なウォン安ドル高に歯止めがかからない。通常、金利引下げはウォン安の要因として働く。最近、家計ローンの増加と住宅価格の上昇傾向も韓銀の足を引っ張っている。イ総裁は「為替レートは内外金利の差のほか、主に国際金融市場の安全資産を好む心理に影響を受ける」とし、FRBの“ビッグカット”でウォン高は制限されると予想した。また、不動産価格はグローバルな景気低迷や政府の一貫した安定対策の影響を受け、短期的には上昇は難しいだろうと見込んだ。

 金利が年0.75%に下がり、通貨政策の余力として使える“実弾”が事実上ほとんど底をついたのではないかという評価もある。基軸通貨国ではない韓国としては基準金利を一定水準以下に下げる場合、急激な資本流出など悪影響がさらに大きくなる“実効下限”が存在するというのが学界の定説だ。イ総裁は「実効下限は固定されたものではなく、国内外の金融市場の状況と主要国の政策金利の変化によって可変的」だとし、さらなる利下げの余力があることを示唆した。韓国銀行は4日の報道資料でも、「実効下限は資本流出だけでなく、実体経済への波及効果や金融安定など様々な側面から見るべきだ」と主張した。

 金融通貨委は、今回の金融仲介支援貸出金利の引き下げで、銀行の中小企業に対する貸出誘引を高め、借り入れ企業の利子負担の軽減と資金事情の改善に寄与するものと期待している。さらに、公開市場運営対象証券に銀行債まで含め、COVID-19被害企業に対する資金支援効果が大きくなるものと予想した。

 しかし、市場では今回の韓銀の措置が金融市場の不安解消や景気低迷への懸念を払拭するには不十分だと見られている。したがって、経済衝撃や金融市場の混乱が続く場合、緊急流動性の拡大など、前向きな金融緩和の手段が打ち出されるべきだという声も高まっている。ユジン投資証券のイ・サンジェ研究員は「2008年金融危機当時のように大量の債券を買い入れ、融資を大幅に増やす必要がある」と指摘した。

ハン・グァンドク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/932855.html韓国語原文入力:2020-03-17 02:43
訳H.J

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